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広告費を止める判断基準は、止める人を決めてから作る

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右下がりのグラフが映った画面の前に、手のひらを広げて止める合図をしている図。基準ではなく人が止める判断をすることを表している

広告費が止められません。成果が出ていないことは、数字を見れば分かっている。それでも広告費は出続けます。原因は基準がないことではなく、基準を割ったときに誰が号令をかけるかが決まっていないことにあります。

この記事では、止めるかどうかを決めるところまで書きます。何を見て、誰に話を通すのかは、後半に置きます。

この記事でわかること

  • 止める判断に使う指標は5つで、どの記事にも載っている。効かないのは目標値が決まっていないため
  • 基準を割っても止まらないのは、手間をかけたものほど手放しにくいから。閾値は走り出す前に決める
  • 始めるときは稟議があるのに、止める手続きがない。決める役は、広告に詳しい人ではなく権限を持つ人に置く

この記事は広告効果測定の一部です。

目次
  1. 広告費を止めたくなるとき、起きているのは3つのどれか
  2. 1. 成果が出ていないと分かっている
  3. 2. 予算を他に回したい
  4. 3. 効いているのかどうか、そもそも分からない
  5. 自分がどれなのかを見分ける
  6. 止めたら何が減るのか、先に見ておく
  7. 広告費を止めるかどうかを決める指標は、もう出そろっている
  8. 指標は、目標値が決まって初めて機能する
  9. 指標を決めても止まらない。準備した広告ほど手放せなくなる
  10. 基準を割っても配信が続く理由
  11. 先送りするほど、次の判断は重くなる
  12. 基準を後から決めると、基準のほうが動く
  13. 広告費を止める判断を、誰がするのかが決まっていない
  14. 始めるときには稟議があるのに
  15. 代理店から止める提案は出にくい
  16. 誰も反対していないのに、誰も止めない
  17. 運用側と発注側では、見ている数字が違う
  18. 決める人に必要なのは、権限であって知識ではない
  19. 相場の2倍の獲得単価を見つけて、停止の合意を取ったときにやったこと
  20. 見つけたきっかけは、管理画面の外にあった
  21. 止める提案は、代わりの案とセットで出した
  22. 広告費の基準と一緒に、止める人と止め方を先に決める
  23. 1. 閾値を、始める前に決める
  24. 2. 止める人を1人決める
  25. 3. 止め方を3つから選んでおく
  26. この記事が扱わないこと、広告費を止めないほうがよい場合
  27. データが少ない時期の数字で判断しない
  28. 媒体の内部の動きには踏み込まない
  29. 止めた広告を再開するときの話も扱わない
  30. 広告費の削減の仕方は、この記事の範囲外
  31. 止めることが目的になっていないか
  32. 止めた後の記録を残す
  33. 外から止める役を借りるという選択もある
  34. まとめ:今日、1つだけ確かめてみてください

広告費を止めたくなるとき、起きているのは3つのどれか

広告費を「止めたい」と口に出るとき、その中身は同じではありません。混ぜたまま議論すると結論が出ないので、先に分けます。

1. 成果が出ていないと分かっている

獲得できた件数が目標に届かない。単価も想定より高くなっています。数字がはっきり悪いので、判断そのものは難しくありません。難しいのは、それを止める手続きのほうです。

2. 予算を他に回したい

広告費そのものは成果を出しているものの、別の施策に振り替えたい。この場合、止める理由は「効いていないから」ではなく「もっと効きそうな先があるから」になります。判断の物差しが変わります。

3. 効いているのかどうか、そもそも分からない

いちばん多いのがこれです。管理画面の数字は出ています。代理店の報告も届く。それでも、事業の売上とどうつながっているのかが見えない。

止めたい理由が3番だった場合、広告費を止めるかどうかを決める前に、確かめることがあります。効いていないのか、効いているのに見えていないだけなのか。ここを飛ばして止めると、あとで戻せません。

自分がどれなのかを見分ける

3つのうちどれかは、次の質問で分かれます。

「いま止めたら、何が起きると思いますか」

  • 「何も起きない。もともと効いていない」と即答できる → 1番
  • 「他に回したい先がある」と具体名が出る → 2番
  • 「分からない。減るかもしれないし、減らないかもしれない」 → 3番

3番だった場合、止めるかどうかの前に、効いていないのか、見えていないだけなのかを確かめます。その確かめ方を書きます。

止めたら何が減るのか、先に見ておく

どの理由であっても、止めれば何かは減ります。何が減るのかを先に並べておくと、判断が具体的になります。

減るものどう出るか
問い合わせ・申し込みの件数すぐ出る。配信を止めた翌日から
指名検索・サイトへの直接流入遅れて出る。広告で名前を知った人が減るため
溜まっていくデータ量配信データが増えなくなり、再開したときの立ち上がりが鈍る
社内の関心数字を見る習慣そのものが薄くなることがある

止めない理由を作るためではなく、止めたあとに慌てないために見ておきます。

とくに2番目は見落とされます。広告からの流入だけを見ていると、指名検索が減っていることに気づくのが2〜3か月後になります。

広告費を止めるかどうかを決める指標は、もう出そろっている

判断に使う数字は、すでに整理されています。診断に使う指標を5つ挙げていました。

指標何を見るか
ROAS(広告費用対効果)広告費に対して、どれだけの売上が返ってきたか
CPA(顧客獲得単価)1件あたりいくらで獲得できているか
LTV(顧客生涯価値)その顧客が取引期間全体でいくらになるか
広告経由の売上比率売上全体のうち、広告から来た割合
代替施策の投資回収期間広告をやめて他に回した場合、回収に何か月かかるか

この5つを並べること自体は、どの記事にも書いてあります。問題は、並べただけでは判断できないところにあります。

指標は、目標値が決まって初めて機能する

CPAが8,000円だったとして、それは高いのか安いのか。比べる相手がなければ、何も言えません。

わたしが関わったB2Bの案件では、この「許容してよいCPA」が決まっていませんでした。代理店からは「獲得単価が3割下がりました」という報告が届く。数字そのものは正しい。ただ、その目標値がどこから出てきたのかを、その場の誰も説明できませんでした。

そこでやったのは、実際に成約した単価から逆算し直すことでした。問い合わせが商談になる割合、商談が成約になる割合を、順に割り戻す。すると「1件あたりいくらまでなら払ってよいか」が出ます。

割り戻しの手順を書いておきます。 ここに出す数字は説明のための仮の値で、実績ではありません。自社の数字を入れて計算してください。

  1. 成約1件あたりの粗利を出す。売上100万円・粗利率30%なら、30万円
  2. そのうち、獲得に使ってよい上限を決める。営業の人件費や納品にかかる費用を引いて、仮に10万円とします
  3. 間に挟まる比率を並べる。問い合わせ→商談が50%、商談→成約が20%なら、成約1件には問い合わせが10件必要
  4. 上限を件数で割る。10万円 ÷ 10件 = 許容CPAは1万円

この計算のいいところは、どこが弱いかが同時に見えることです。商談化率が50%から60%に上がれば、許容CPAは1.2万円まで上げられる。広告を触らなくても、営業の歩留まりが良くなれば許容値は高くできます。

逆に、この計算をしていないと「CPA8,000円は高いのか安いのか」に誰も答えられません。答えられないまま、報告だけが毎月届きます。

一般的な記事は「LTVから逆算する」と書きます。発想は同じです。ただし、B2BではLTVのような抽象的な数字は使いません。実際に成約した単価を起点に、間に挟まる各段階の比率で割り戻す。そのほうが早く決まります。

許容CPAが決まっていない状態では、「下がった」という報告が良い知らせなのかどうかを判断できません。指標の設計から見直したい方は、CPAが下がったのに売上が増えない理由もあわせてご覧ください。

この章のまとめ

判断に使う指標は5つで、どの記事にも載っている。効かないのは目標値が決まっていないから。許容CPAは成約単価から割り戻して出す。

指標を決めても止まらない。準備した広告ほど手放せなくなる

ここからが本題です。

広告費を止める基準を作るところまでは、誰でもできます。5つの指標を並べ、目標値を決め、「これを割ったら止める」と紙に書く。作業としては1日で終わります。

それでも、止まりません。

基準を割っても配信が続く理由

止める判断が難しいのは、数字を読む力の問題ではありません。手間をかけたものほど、手放しにくくなる。ただそれだけです。

その広告費を使い始めるまでに、何をしたか思い出してください。訴求を考え、原稿を書き、素材を作り、審査を通し、計測を仕込み、社内の承認を取りました。人が動いて、時間が消えています。

その状態で「基準を割ったので止めます」と言うのは、自分たちがやってきたことを否定するように聞こえます。だから、止めない理由のほうが先に出ます。

  • もう少し様子を見よう
  • 季節要因かもしれない
  • クリエイティブを差し替えれば戻るはずだ

どれも、それ自体は間違っていません。そうなることもあるでしょう。問題は、この判断がいつまでも繰り返せてしまうところにあります。

先送りするほど、次の判断は重くなる

「もう少し様子を見よう」には、もう一つやっかいな性質があります。

1か月先送りすると、そのぶん広告費が積み上がります。次に判断する場面では、先月より多くの金額を「無駄だった」と認めることになる。こうして判断はさらに重くなり、また先送りされます。

「あと1か月」を3回繰り返せば3か月です。金額にすれば、最初に判断していれば使わずに済んだ額の3倍が乗っています。

止められない状態は、放っておいても軽くなりません。時間が経つほど、止める判断は難しくなります。 だから「いつ判断するか」を先に決めておく必要があります。

基準を後から決めると、基準のほうが動く

もう一つ、見落とされやすい落とし穴があります。

止めたくない気持ちがあるとき、人は基準を作り直します。「今月は繁忙期前だから、CPAは1.2倍まで許容しよう」。この判断は合理的に見えますし、実際に合理的な場合もあります。

ただ、それを基準を割った後に決めているなら、話は変わります。結果を見てから線を引き直しているので、その線はもう基準として働いていません。

だから順番が要ります。閾値は、始める前に決めておく。 走り出してから決めた基準は、止めたくない気持ちのほうに引っ張られます。

上位5本の見出しをすべて読みましたが、この「基準を割っても止まらない」という現実に触れた記事はありませんでした。診断のやり方や、投資対効果の測り方は、むしろ競合のほうが厚く書いています。抜けているのは、基準を作った後の話です。

この章のまとめ

基準は誰でも作れる。止まらないのは、手間をかけたものほど手放しにくいから。閾値は走り出す前に決めておかないと、止めたくない気持ちのぶんだけ基準のほうが緩む。

広告費を止める判断を、誰がするのかが決まっていない

広告費が止まらない理由は、気持ちだけではありません。もっと単純な理由があります。

止める人が決まっていない。

始めるときには稟議があるのに

広告費を使い始めるときは、たいてい手続きがあります。予算を申請し、上長の承認を取り、場合によっては経営会議にかける。始めるための道は整備されています。

止めるときはどうでしょうか。

多くの会社で、止めるための手続きが定義されていません。誰が言い出すのか、誰が決裁するのか、どの会議で決めるのか。何も決まっていないまま、配信だけが続きます。

代理店から止める提案は出にくい

構造の話もしておきます。

運用を代理店に任せている場合、その担当者は改善提案はできても、「そもそもこの広告費は使わないほうがいい」とは言いにくい立場にあります。売上が減る提案を自分から出す人は、そう多くありません。

これは代理店が不誠実だという話ではありません。立場上、言いにくいことがあるというだけです。止める判断を発注側に置いておく必要があるのは、そのためです。

代理店との付き合い方をどう設計するかは、マーケティング支援の使い方にも整理してあります。

誰も反対していないのに、誰も止めない

結果として、次の状態が生まれます。

社内の誰に聞いても「あの広告、効いてないよね」と言います。代理店も薄々そう思っている。それなのに、配信は止まらない。

反対している人がいるわけではありません。決める人がいないだけです。担当者を替えても、この状態は変わりません。

運用側と発注側では、見ている数字が違う

もう一つ、止める判断が発注側にしか置けない理由があります。

見ている数字が、そもそも違うからです。

主に見る数字どこにあるか
運用側(代理店・担当者)表示回数・クリック率・獲得単価広告の管理画面の中
発注側(事業の責任者)成約数・粗利・回収期間管理画面の外(営業・会計)

運用側の数字がすべて改善していても、発注側の数字は増えていないことがあります。逆もあります。どちらも嘘をついていないのに、話がかみ合わない。

この状態で「効いていますか」と聞いても、返ってくるのは管理画面の中の答えです。止めるかどうかは管理画面の外の数字で決まるので、聞く相手を変えるのではなく、見る数字を持ち込む必要があります。

決める人に必要なのは、権限であって知識ではない

止める役を置くとき、「広告に詳しい人でないと務まらない」と考えがちです。実際には逆で、必要なのは指示を出せる立場のほうです。

判断の材料は、担当者や代理店が出せます。しかし、その材料を受け取って「では止めます」と言えるかどうかは、権限の問題になります。材料がそろっていても、決裁できない人が受け取れば、話はそこで止まります。

止める役は、他部門と調整できる役職の人に置きます。予算の振り替えが発生するので、部門をまたぐ話になるからです。

この章のまとめ

始めるときは稟議があるのに、止める手続きは定義されていない。代理店は立場上、止める提案を出しにくい。誰も反対していないのに止まらないのは、決める人が決まっていないから。

相場の2倍の獲得単価を見つけて、停止の合意を取ったときにやったこと

実際に止めた話を書きます。

ある案件で、獲得単価が競合の相場の2倍以上になっている施策を見つけました。管理画面の数字だけを見ていたときには、そこまで大きくずれているとは分かりませんでした。

見つけたきっかけは、管理画面の外にあった

きっかけは広告の数字ではなく、営業の成約情報との突き合わせでした。手順はCPAが相場の2倍でも気づかないのは、点検する役割が無いからに書いています。

この記事で残すのは、止め方です。

止める提案は、代わりの案とセットで出した

数字が出たあと、すぐに「止めましょう」とは言いませんでした。

止める提案だけを出すと、それは予算を減らす話に聞こえます。実際に減らすわけではなく、効いている経路に寄せたいだけなのですが、そうは伝わりません。

そのため、この施策を止めて、浮いた予算をどこに移すかまでを同時に出しました。移した先で何を見るか、いつ判断するかも決めておく。そうすると、止める話が後ろ向きの相談ではなくなります。

合意そのものは、拍子抜けするほど早く取れました。数字と代わりの案がそろっていれば、反対する理由がないからです。逆に言えば、それまで止まらなかったのは、材料がそろっていなかったからでした。

広告費の基準と一緒に、止める人と止め方を先に決める

ここまでを、次に広告費を投じるときに使える形にします。やることは3つです。

1. 閾値を、始める前に決める

「CPAが◯◯円を超えたら」「◯週間続けて目標の◯割に届かなかったら」。数字と期間の両方を書きます。

期間を入れるのは、1週間の振れで判断しないためです。反対に、期間だけを決めて数字を決めないと、いつまでも様子見が続きます。

2. 止める人を1人決める

これがいちばん抜けます。

「効果が出なければ止めます」と書いてあっても、誰が言い出すかが決まっていなければ、誰も言い出しません。名前を1つ書いておく。その人が号令をかける役だと、始める前に全員が知っている状態にしておきます。

決め方は難しくありません。次の2つを満たす人を選びます。

  • 予算の振り替えを決められる(止めた分をどこに移すかを判断できる)
  • 他部門と話ができる(営業や事業側に影響が出たとき、調整に入れる)

広告の知識は条件に入れません。材料は担当者が出すので、受け取って決められることのほうが大事になります。

3. 止め方を3つから選んでおく

止めると言っても、やり方は同じではありません。

やり方どんなときに使うか
即停止明らかに成果が出ておらず、続ける理由がないとき
段階的に縮小一部の経路は効いていて、全部を止めると取りこぼすとき
他の施策へ移行予算そのものは残し、別の集客に振り替えるとき

それぞれに、気をつける点があります。

  • 即停止:いちばん分かりやすい反面、戻すときの立ち上がりが鈍ります。再開の予定があるなら、次の段階的縮小のほうが向きます
  • 段階的に縮小:どの単位で縮めるか(媒体・キャンペーン・地域・時間帯)を先に決めておかないと、判断が毎回ぶれます
  • 他の施策へ移行:移し先で何を見るか、いつ判断するかまで決めて初めて「移行」になります。決めずに移すと、同じことを移し先で繰り返します

どれを使うかも、広告費を投じる前に決めておきます。止める場面になってから選ぶと、いちばん手間のかからない「様子見」に流れます。

広告そのものの運用設計については運用型広告の考え方、数字の見方の全体像は効果測定の考え方に整理しています。

この章のまとめ

閾値(数字+期間)、止める人の名前、止め方の3択。この3つを、広告を始める前に決めておく。

この記事が扱わないこと、広告費を止めないほうがよい場合

最後に、この方法が向かない場面を書いておきます。

データが少ない時期の数字で判断しない

配信を始めた直後は、数字が大きく振れます。クリックが数十件しかない段階のCPAは、ほとんど参考になりません。

媒体の内部の動きには踏み込まない

「一度止めると、媒体の学習がリセットされて元に戻らないのでは」という不安をよく聞きます。

この点について、確かな情報を確認できませんでした。媒体側が公式に条件を示していないため、この記事では書きません。推測で書くと、それを前提に判断してしまう人が出ます。

再開の不安に対しては、別の答え方をします。止める前に、何を確かめておくかを決めておく。そうすれば、戻すかどうかの判断も同じ材料でできます。

止めた広告を再開するときの話も扱わない

一度止めた広告を、しばらくして再開することはあります。そのときに何を確かめるかは、止める判断とは別の話になるため、この記事では扱いません。

1点だけ書いておきます。止めたときの記録が残っていれば、再開の判断も速くなります。 何を基準に止めたかが分かっていれば、その基準が変わったかどうかを見るだけで済むからです。

広告費の削減の仕方は、この記事の範囲外

検索して出てくる記事の多くは、広告費の削減の方法を扱っています。どこから削るか、削ってはいけない箇所はどこか。

この記事は、その手前にある「止めるかどうか」を決める話です。削減の順序と、止めた後の移し先をどう作るかは、それだけで別の話になります。ここでは「移し先を決めてから止める」というところまでにとどめます。

止めることが目的になっていないか

もう一つ、逆方向の注意です。

止める基準を作ると、今度は「基準を割ったからすぐ止める」という運用に寄りがちです。これも行き過ぎになることがあります。

基準は判断を助けるための道具で、判断そのものではありません。割ったときに一度立ち止まって理由を確かめるという工程を、閾値とセットで決めておくと安全です。たとえば「基準を割ったら、翌週の定例で止めるかどうかを決める」といった形にしておく。

即断即決が要る場面と、一度確かめたほうがいい場面は違います。そこを分けておかないと、今度は止めすぎます。

基準は、迷ったときに立ち返る場所です。迷わないための道具ではありません。

止めた後の記録を残す

止める判断をしたら、そのときの数字と理由を1枚に残してください。次に同じ判断をするときの材料になります。

書くのは3行で足ります。何を止めたか。どの数字が基準を割ったか。予算をどこに移したか。 これがあると、半年後に「あの判断は正しかったか」を検証できます。

残していないと、止めた記憶だけが残り、判断の根拠は消えます。次に同じ場面が来たとき、また一から悩むことになります。

外から止める役を借りるという選択もある

社内で止める役を置きにくい場合、外部の人間に判断の役割を持たせる方法もあります。費用の目安はCMO代行の費用相場と内訳にまとめました。

まとめ:今日、1つだけ確かめてみてください

止める基準がないのではなく、基準を割ったときに止めると言い出す人が決まっていない。この記事で書きたかったのはそこです。

いま出している広告費について、次の5つを確かめてみてください。手元の資料を開けば、10分ほどで分かります。

  • 許容してよいCPAの目標値が、決まっているか。決まっていなければ、報告の数字が良いのか悪いのかを誰も判断できません
  • その数字は、実際に成約した単価から割り戻したものか。借り物の相場値だと、自社の粗利と合わないまま運用が続きます
  • 基準を割ったとき、止めると言い出す人は誰か。ここが空欄なら、基準を作り直しても止まりません
  • 止め方(即停止・段階的に縮小・他へ移行)を、先に決めてあるか。場面になってから選ぶと、いちばん楽な「様子見」に流れます
  • 止めた後、予算をどこに移すかを決めてあるか。移し先があると、止める話が後ろ向きの相談ではなくなります

3つ目に名前が入らなかったら、そこが最初に埋める場所です。基準を作り直すより先に、誰が号令をかけるかを決めてください。

名前を決めるのは、会議を開くほどの話ではありません。次の定例で「この広告、基準を割ったときに止める判断をするのは誰ですか」と一度聞けば、その場で決まることも多いはずです。もし決まらなければ、そこが本当の課題です。

数字の設計から一緒に見直したい場合は、効果測定の考え方もあわせてご覧ください。

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この記事を書いた人

たけまるマーケティングディレクター

事業会社で17年、マーケティングの現場と決裁の場にいました。広告・コンテンツ・データのどれか一つではなく、売り方全体を決める側から見た話を書きます。