CMO代行の費用相場と内訳
マーケティングを見てくれる人を、社外に頼めないだろうか。そう思って調べ始めたところで、手が止まっている方に向けて書いています。
止まる理由は、だいたい金額です。同じ「CMO代行」という名前なのに、月10万円台の会社もあれば、月100万円の会社もある。どのページにも「戦略から実行まで支援します」と書いてあって、10倍の差がどこから来るのかが読み取れません。
すでに見積もりを1通お持ちの方なら、迷いはもう少し具体的だと思います。この金額は高いのか、それとも妥当なのか。そもそも何と比べれば分かるのか、という迷いだと思います。
先に答えを書きます。金額を分けているのは、作業の量ではありません。方針を決めるのが自社なのか相手なのか、実行を管理するのが誰なのか。この2つで決まっています。
2026年8月、「CMO代行 費用」と検索して出てくる上位20件を開き、公開されている料金をすべて拾いました。分かったのは、金額に幅があるのではなく、関与の段階が違うものが同じ名前で売られているということでした。だから並べて比べても、差の理由が出てこなかったわけです。
事業会社のマーケティング責任者として発注する側で17年、月間およそ4,000万円規模の広告投資を評価してきました。見積もりを受け取る側にいた立場から、金額の読み方をお伝えします。
この記事でわかること
- 相場は関与の段階で3つに分かれる。金額の幅ではなく段階の違いとして読む
- 同じ月額でも中身が変わるのは、段階を分ける基準が会社ごとに違うため
- 見積もりは金額ではなく、決める人・立つ側・体制・記録・試行の5項目で比べる
目次
- CMO代行の費用相場は、月10万円台から月200万円まで開いている
- 「CMO代行」と「外部CMO」と「顧問」は、何が違うのか
- 同じ「月40万円」が、会社によって別の中身になる理由
- 求められていたのは、実行ではなかった
- 支援する側から見ると、金額は4つで決まっている
- 金額を上げても、試している数が増えなければ中身は変わらない
- 料金表に書かれていないもの(広告費・制作費・契約期間)
- 料金の決まり方は4つ。それぞれ向き不向きがある
- 広告費と制作費は、別なのか込みなのか
- 「〜から」の下限が、どの条件を指しているか
- 範囲が書かれていない見積もりは、そのままにしない
- 契約期間と、途中でやめるときの扱い
- 見積もりを受け取ったら、この5つを確かめる
- 1. 方針を決めるのは、どちらか
- 2. その相手は、事業の側に立つのか、実行の側に立つのか
- 3. 実行を回せる体制と、試している数
- 4. 記録が3段階で残るか
- 5. 契約が終わったとき、社内に何が残るか
- 相見積もりは、金額ではなくこの5項目で並べる
- そのまま送れる、依頼文の型
- 比較表のひな形
- 予算からどの段階を選ぶか
- 月10万〜20万円台:判断を相談する相手を置く
- 月30万〜60万円台:決めて、実行が動いているかまで見る
- 月80万円以上:ほぼ専任として組織に入る
- 予算が足りないと感じたら
- 金額を下げたいときに、できること
- 範囲を1つに絞る
- 期間を区切る
- 実行は内製のまま、判断だけを外に出す
- スポットの相談から始める
- 値引きを頼むときに起きること
- その金額は、月いくらの人を何割使う契約か
- 割り戻してみると、何が見えるか
- 割り戻すために聞くこと
- 正社員を採る場合と比べるときも、同じ計算をする
- 契約したあとの最初の3か月と、よくある失敗
- 1か月目:現状の整理と、優先順位を決める
- 2か月目:決めたことを動かす
- 3か月目:数字を見て、続けるか変えるかを決める
- よくある失敗5つ
- 契約したあと、段階を上げるとき・下げるとき
- グロアの場合(月15万円〜と月60万円〜の線引き)
- よくある質問
- Q. 最低いくらから頼めますか
- Q. 広告費は料金に含まれますか
- Q. いまの代理店を切る必要がありますか
- Q. 相見積もりでも構いませんか
- Q. CMO代行とマーケティング顧問は、どう違いますか
- Q. マーケティングの戦略だけ、実行だけでも依頼できますか
- Q. 契約期間の途中で解約できますか
- Q. 自社の業種を経験していない会社に頼んで大丈夫でしょうか
- Q. まだ計画の段階ですが、相談してもよいですか
- Q. どのくらいの期間で成果が出ますか
- Q. 提案に来た方が、そのまま担当してくれますか
- Q. 提示された金額は、交渉できますか
- Q. 社内のマーケティング担当と、役割はどう分けますか
- Q. 複数の支援会社に同時に頼んでもよいですか
- Q. 社内に詳しい担当者がいませんが、頼めますか
- いま頼まないほうがいい場合
- まとめ:見積もりを受け取ったときのチェックリスト
- よくある誤解
- おわりに
- 参考にした資料
CMO代行の費用相場は、月10万円台から月200万円まで開いている
「CMO代行」と「外部CMO」と「顧問」は、何が違うのか
調べていて最初に戸惑ったのが、呼び名の多さでした。
CMO代行、外部CMO、フラクショナルCMO、マーケティング顧問。上位20件のなかに、この4つが混ざっています。同じ内容を別の名前で呼んでいるのか、それとも中身が違うのか。そこがはっきりしないと、比べようがありません。
そこで、それぞれがどういう意味で使われているのかを整理しました。近い言葉も含めて並べます。
| 呼び名 | よく使われている意味 | 注意点 |
|---|---|---|
| CMO代行 | マーケティングの責任者の役割を、社外の人が担う | 実行まで含む会社と、含まない会社がある |
| 外部CMO・社外CMO | 上とほぼ同じ意味で使われる | 同じ会社が両方の言葉を使っていることもある |
| フラクショナルCMO | 週のうち一部だけ関わる形 | 稼働日数や時間で契約することがある |
| マーケティング顧問 | 助言が中心。月1〜2回の相談が多い | ただしCMO代行と同じ意味で使う会社もある |
| マーケティングコンサルティング | 課題の整理と戦略の提案が中心 | 実行の管理まで入るかは会社によって違う |
| 広告代理店 | 広告の運用が中心 | 事業全体の戦略までは範囲外のことが多い |
この表のとおり、呼び名から中身を読み取ることはできません。同じ「CMO代行」という言葉のなかに、助言だけを行う会社と、実行まで背負う会社の両方が入っているためです。
契約の形も、業務委託契約が多いものの、顧問料という名目で受け取る会社もあります。ただ、名目が違っても確かめることは変わりません。何を、どこまでやってもらえるのか。そこを一つずつ聞いていけば、呼び名の違いは気にしなくてよくなります。
そのうえで金額を見ると、関与の深さで3つに分かれていました。
| 段階 | 相場(調べた20件の公開料金) | 中身 |
|---|---|---|
| 助言が中心 | 月5万〜40万円 | 月1〜2回、または月次の会議で方針を相談する。実行は自社 |
| 方針決定と実行の管理まで | 月30万〜80万円 | 週次で進行を見る。実行チームのディレクションが入る |
| ほぼ専任 | 月80万〜200万円 | 経営会議に定常参加する。常駐に近い関与 |
同じ段階でも会社によって金額が違います。助言が中心の段階だけを見ても、月5万円からの会社と、月15万円からの会社がありました。
この差は、多くの場合誰が担当するかで生まれます。同じ「月1回の相談」でも、経験の長い人が出てくる場合と、経験の浅い人が出てくる場合があります。提案の場に出てきた人が、そのまま担当するとは限りません。
提案してくれた方が、契約後も担当されますか。この一言を聞いておくと、金額の差に説明がつくことがあります。
当社(グロア)の料金も、この表に重ねておきます。隠して書いても比較の役に立たないためです。
- アドバイザー支援:月15万円〜(月2回の打ち合わせ。実行は貴社)
- コンサルティング:月60万円〜(週1回の定例。方針を決定し、実行まで管理)
- 実行代行:範囲によるためお見積り
助言の段階では相場の中ほど、実行の管理まで含む段階では相場の中ほどにあたります。安くも高くもありません。
なぜこれだけ幅が出るのかというと、同じ言葉で売られている商品が、実際には別の商品だからです。
月10万円台のものは、月に1〜2回の相談です。月200万円のものは、経営会議に出て組織を作り直す仕事です。この2つを「CMO代行」という同じ棚に並べているのが、いまの状態です。
中小企業の経営者から見ると、この棚は選びにくいものです。どれが自社の課題に合うのかが、値札からは読み取れません。
金額に含まれる稼働の量も、会社によって違います。同じ月30万円でも、月2回の打ち合わせだけの会社と、日々の連絡にも対応する会社があります。
打ち合わせの回数だけを見て決めると、契約が始まってから「思っていたより連絡がつかない」という食い違いが起きます。回数の裏で、どこまで対応してもらえるのかは聞いておいたほうが安全です。
なお、安い段階が劣っているわけではありません。社内に実行する人がいて、方針を相談する相手だけがほしいのであれば、助言が中心の契約で足ります。必要な段階を選び違えることが、いちばん高くつきます。
ここで注意していただきたいのは、表の金額はどれも「〜から」の下限だということです。公開ページに書かれている数字は、いちばん軽い条件のものです。実際の見積もりは、範囲が広がればこれより上になります。
CMO代行の料金は、助言が中心なら月5万〜40万円、実行の管理まで入ると月30万〜80万円、ほぼ専任なら月80万〜200万円の3段階に分かれます。呼び名では中身を判断できないため、関与の段階で読んでください。
同じ「月40万円」が、会社によって別の中身になる理由
段階で分かれていると書きましたが、その段階を何で区切るかが会社ごとに違います。調べた20件では、区切り方が4種類ありました。
- 関与の呼び名で区切る(アドバイザリー型・ハンズオン型・フルコミット型)
- 作業時間で区切る(月40時間・月80時間)
- 実行が入るかどうかで区切る
- 経営会議に出るかどうかで区切る
たとえば、月2回の支援で月額33万円、月40時間で月額66万円、月80時間で月額132万円という料金表がありました。時間が2倍になると金額も2倍になる、分かりやすい設計です。
ただ、買う側の立場で考えると、これは判断が難しい売り方です。40時間を80時間にしても、決める人が変わらなければ結論は変わらないからです。
時間で買えるのは作業であって、判断まで買えるわけではありません。
さらに困るのは、区切り方が違う会社どうしを比べられないことです。ある会社の「ハンズオン型 月50万円」と、別の会社の「月40時間 月66万円」を並べても、どちらが自社に合うかは出てきません。前者は関与の深さで、後者は作業時間で値段をつけているためです。
比べるには、金額の隣に置く項目をこちらで用意する必要があります。それが後半に書く5項目です。
求められていたのは、実行ではなかった
以前、ある経営者から相談を受けたことがあります。
その方が困っていたのは、広告運用が正しく回っているかどうかを自分では判断できないことでした。代理店は動いていますし、レポートも毎月届きます。それでも、その報告をどう読めばいいのかが分からない、という状態です。
こちらは当時、実務を引き受けられるだけの時間がありませんでした。そこで、実行はそのまま既存の代理店に残し、その良し悪しの判断とハンドリングだけを引き受ける形を提案し、その形で始まりました。
先方が望んでいたことは、はっきりしていました。
- 広告運用が正しく回っていること
- 事業の側に立つ人間として、代理店との打ち合わせに参加してほしいこと
- 自分の代わりに、広告の数字を見てほしいこと
作業をしてほしいという依頼ではありません。判断してくれる人が社内にいない、という依頼でした。
この経験は、料金表の読み方を変えます。金額を分けているのは作業量ではなく、方針を決めるのが自社か先方か、実行を管理するのが誰かです。ここが変われば、相手が背負うものが変わります。だから金額も変わります。
支援する側から見ると、金額は4つで決まっている
売る側の事情も書いておきます。これを知っておくと、見積もりの読み方が変わります。
支援会社が金額を決めるとき、見ているのは次の4つです。
- 誰が担当するか:経験の長い人が入れば、その人の時間の分だけ金額は上がります
- 月に何時間動くか:打ち合わせだけか、日々の確認まで入るか
- 決めるかどうか:マーケティング戦略を決める立場に立つと、結果を背負うことになります。ここが金額に効きます
- 成果をどこまで約束するか:約束の範囲が広いほど、こちら側のリスクが増えます
このうち、買う側から見えにくいのは3番です。1番と2番は提案書に書かれますが、「決めるかどうか」は書かれないことが多いためです。
そして3番こそが、月15万円と月60万円を分けている中身です。時間が4倍になっているわけではありません。
金額を上げても、試している数が増えなければ中身は変わらない
もう一つ、実際に見てきたことを書きます。
支援の金額が大きいのに、新しい挑戦が何も出てこないことがあります。クリエイティブの案が増えず、試す組み合わせも前のままです。それでいて広告費だけが積み上がっていきます。
成果が出ている間は問題になりませんし、数字が良ければ誰も止めようとしません。
ただ、これは止まっている状態です。うまくいっている型を回しているだけで、次の型を探していません。市場が動いたときに、手元に候補がありません。
金額を上げるとは、試せる回数を増やすことのはずです。支払いを増やしたのに、試している数が前と同じなら、その増額は何に使われているのかを確かめたほうがいいと考えています。
この章のまとめ
- CMO代行の段階を分ける基準は、会社ごとに違う(会議の回数/作業時間/実行の有無/経営会議への参加)
- 時間で買えるのは作業であって、判断は買えない
- 金額を分けている軸は2つ。方針を決めるのが自社か先方か、実行を管理するのは誰か
料金表に書かれていないもの(広告費・制作費・契約期間)
月額の数字だけを並べても比べられないのは、同じ金額でも含まれるものが違うためです。
料金の決まり方は4つ。それぞれ向き不向きがある
まず料金の決まり方を整理します。今回調べた20件では、次の4つが使われていました。
| 形 | 中身 | 向いている場合 | 注意 |
|---|---|---|---|
| 月額固定型 | 毎月決まった額を払う。最も多い形 | 継続して見てもらいたい | 稼働が少ない月も同額 |
| 時間単価型 | 稼働した時間で計算する | 使う量が読めない | 買えるのは作業時間で、判断ではない |
| 成果報酬型 | 成果に応じて払う | 成果の定義がはっきりしている | 何を成果とするかで揉めやすい |
| スポット(都度) | 単発の相談や制作物ごとに払う | まず一度だけ見てもらいたい | 続けて見る前提ではないため、判断の材料が溜まらない |
成果報酬型については、注意が要ります。マーケティングの戦略を決める仕事は、成果の定義が難しいためです。
問い合わせの件数を成果とすれば、質を問わず数を増やす動きになります。受注を成果とすれば、営業側の力量まで含めて評価することになり、どちらの手柄かで揉めます。成果報酬にするなら、何を成果と呼ぶかを契約の前に文章にしておくことをおすすめします。
スポットの相談は、入口としては良い形です。ただ、1回だけの相談では、その会社の数字の癖まで踏み込めません。判断の材料が溜まっていく形かどうかは見ておいてください。
そのうえで、確かめておきたいことが3つあります。
広告費と制作費は、別なのか込みなのか
ある会社の説明には、月額制で契約し、広告費などの実費は別途かかると明記されていました。書かれていない会社もあります。
込みの契約が悪いわけではありません。ただ、込みにすると、何にいくら払ったのかが後から分からなくなります。
支援の費用と広告費が一体になっていると、成果が出たときも出なかったときも、どこを動かせばよいかを判断できません。広告費を増やすべきなのか、支援の範囲を変えるべきなのかが切り分けられないためです。
もう1点、広告費が込みの場合は、支払う広告費が増えるほど支援会社の取り分も増える形になっていないかを確かめておきます。広告費に対する割合で受け取る契約は珍しくありませんが、その形だと「使う金額を増やすこと」と「成果を上げること」が別の方向を向く場面が出てきます。
当社では、運用の費用を広告費や制作費とは切り離した定額でいただいています。判断を濁らせないためです。
「〜から」の下限が、どの条件を指しているか
公開されている金額は「月◯万円〜」の形が大半です。この下限がどの条件を指しているのかは、ページには書かれていません。
打ち合わせの回数なのか、対応する媒体の数なのか、関わる人数なのか。ここを聞かずに金額だけを比べると、比較になりません。
範囲が書かれていない見積もりは、そのままにしない
「戦略から実行まで一貫して支援します」という一文だけで、範囲の記載がない見積もりを見ることがあります。
この書き方は、受け取る側にとってはどうとでも読めます。実行が入っているように読めますが、実行の中身が何を指すのかは書かれていません。広告の運用なのか、制作物を作ることなのか、営業資料まで含むのか。
聞くべきことは1つです。「この金額に含まれる作業を、箇条書きで出していただけますか」。出せない会社は、社内でも範囲が決まっていません。
契約期間と、途中でやめるときの扱い
契約期間の縛りも会社によって違います。当社の場合は、助言が中心のアドバイザー支援が1か月から、方針決定と実行管理まで入るコンサルティングが3か月からです。
3か月という期間には理由があります。方針を決めて、実行して、数字が動いたかどうかを見るまでに、それだけかかるためです。1か月では、決めたことが良かったのかどうかを判断できません。
逆に言えば、期間の縛りだけが長くて、その理由が説明されない契約には注意が必要です。
月額に何が含まれるかは会社ごとに違います。「〜から」の下限がどの条件を指すのか、契約期間にどういう理由があるのかは、金額を比べる前に聞いておいてください。
見積もりを受け取ったら、この5つを確かめる
ここからが本題です。
見積もりそのものは、正直なところ、どの会社でも似たような紙が出てきます。月額と、支援範囲の箇条書き。数字と言葉が並んでいるだけで、そこから中身は読み取れません。
広告の世界でも同じことが起きます。代理店から出てくる見積もりは、媒体のシミュレーションです。想定の獲得単価と件数が並んでいますが、あの紙は条件を入れれば誰でも出せるものです。
だから私は、紙よりも先に、それを回せる体制があるかどうかを見ていました。
CMO代行を頼むときも、見るところは同じで、次の5つです。
1. 方針を決めるのは、どちらか
支援範囲に「戦略立案」と書かれていても、最終的に決めるのが自社であれば、その契約で買っているのは資料です。
決めてくれるのか、決める材料を出してくれるのか。ここは金額に直結します。相手が決めるということは、相手が結果を背負うということだからです。
聞き方はかんたんです。「方針が分かれたとき、最後に決めるのはどちらですか」。
返ってきた答えの読み方も書いておきます。
- 「ご提案はしますが、最終的には御社でご判断ください」→ 決めるのは自社。この場合、買っているのは材料と見立てです。金額が高ければ、その分だけ材料の質を確かめる必要があります
- 「私が決めます。責任も持ちます」→ 決めるのは先方。ただし、決めるということは口を出すということでもあります。社内の意見と食い違ったときにどう進めるかを、先に決めておいてください
- 明確に答えない → 決まっていません。この状態で始めると、うまくいかなかったときに責任の所在が空白になります
マーケティングの戦略は、決めた瞬間に「やらないこと」が生まれます。やらない判断を誰が背負うのか、それがこの質問の中身です。
2. その相手は、事業の側に立つのか、実行の側に立つのか
見落とされやすいのがここです。
実行まで請け負う会社に判断を任せると、自分の実行を自分で評価することになります。うまくいっていない施策を止める判断は、その施策を担当している側からは出しにくいものです。
先ほど書いた相談の例で、私が引き受けたのは実行ではありませんでした。実行は既存の代理店に残したまま、事業の側に立って代理店との打ち合わせに参加する役割でした。間に立つ人が必要だったということです。
確かめる形にすると、こうなります。
- 代理店や制作会社との打ち合わせに、同席してくれるのか
- 数字を日常的に見るのか、月1回の報告を受け取るだけなのか
見分け方はもうひとつあります。その会社が、自社の商品を勧めてくるかどうかです。
広告の運用を自社で請け負っている会社に相談すると、戦略の結論が広告に寄ることがあります。制作会社なら制作に、システム会社ならシステムに寄ります。悪意があるわけではなく、自分たちが解ける形の課題に見えてしまうためです。
そういうときに確かめるのは、「やらない」という提案が出てきたことはありますかという質問です。実際に何かを止めた事例を挙げられる会社は、事業の側から見ています。
当社が実行者を問わない形にしているのは、この理由からです。実行は貴社でも、いまの取引先でも、当社でも構いません。既存の代理店を切る必要もありません。代理店の提案を評価する役に回る形でもお引き受けしています。
3. 実行を回せる体制と、試している数
紙に書かれた計画は、回せる人がいて初めて動きます。
- 試すことができるのか(案を複数出して比べられるのか)
- 運用できる人がいるのか
- その人たちは、どういう実績を持っているのか
そのうえで、契約が始まったあとに見るのは、試している数が増えているかです。金額を上げたのに、試す回数が前と同じなら、増額分は何に使われているのかを聞いたほうがいいと考えています。
4. 記録が3段階で残るか
ここが、いちばん差の出るところです。
報告には3つの段階があります。
| 段階 | 何が残るか |
|---|---|
| 日次 | 何を変えたかの記録。誰が、どの設定を、どういう理由で変えたか |
| 週次 | 数字の報告。動いた指標と、その理由 |
| 月次 | レビュー。次に何をするかを決める場 |
多くの発注者は、日次の記録が存在しうることを知りません。
私が見てきた範囲では、そのために「週次と月次だけ」の運用になっている現場が少なくありませんでした。受け取る側が求めなければ、日々の変更履歴は残らないままになります。
日次の記録があると、週次の数字を見る目が変わります。数字が動いた週に何を変えたのかが並んでいれば、良かった変更と関係のなかった変更を切り分けられるためです。
日次の記録がないと、数字が動いた理由を後から追えません。良くなったときも、悪くなったときも、何をしたからそうなったのかが分からない。次に活かせないという意味では、成果が出ているときのほうが損をしています。
見積もりの段階で聞いておくことは、この一言で足ります。「変更した内容は、どの頻度で記録に残りますか」。
5. 契約が終わったとき、社内に何が残るか
支援が終わったあと、元に戻ってしまう会社があります。作業だけを外に出していると、そうなります。
残すべきものは、判断の基準です。なぜその媒体を選んだのか、なぜその施策を止めたのか。決めた理由が記録に残っていれば、担当者が代わっても方針が振り出しに戻りません。
記録に何を書くかも、決めておいたほうがいいものです。決めたこと、決めなかったこと、その理由の3つで足ります。
とくに「やらないと決めたこと」は残りにくいのですが、あとから同じ議論を繰り返さないために効きます。担当者が代わったときに、一度捨てた案がそのまま戻ってくることを防げます。
当社では、決定の理由を毎回記録に残すところまでを範囲に含めています。
相見積もりは、金額ではなくこの5項目で並べる
複数社から見積もりを取るとき、金額の欄だけを比べると、いちばん安い会社が選ばれます。ですが、いま挙げた5つは金額の欄には出てきません。
同じ5項目を全社に聞いて、その答えを並べてください。そこではじめて、金額の差に説明がつきます。
そのまま送れる、依頼文の型
複数社に同じことを聞くには、同じ文面を送るのがいちばん早い方法です。次の形で足ります。
次の文面をそのまま送れば、5項目を一度に聞けます。
「お世話になっております。CMO代行のご相談にあたり、御社のご提案を検討したく、下記5点についてご回答いただけますでしょうか。」
- 方針が分かれた場合、最終的に決定するのはどちらでしょうか
- 弊社が委託している代理店・制作会社との打ち合わせに、同席していただけますでしょうか
- 施策の実行はどなたが担当し、どのような体制で進められますでしょうか
- 変更内容の記録・週次の数字・月次のレビューは、それぞれどの頻度でご報告いただけますでしょうか
- 契約終了時に、弊社側に残るもの(記録・判断の基準など)を教えてください
あわせて、ご提示の金額に含まれる作業を箇条書きでお示しいただけますと助かります。
この5つに気持ちよく答えられる会社は、社内で範囲が決まっています。答えが曖昧な会社は、社内でも決まっていません。
比較表のひな形
返ってきた答えは、金額の隣に置いて並べます。
| 見るところ | A社 | B社 | C社 |
|---|---|---|---|
| 月額 | |||
| 決定するのはどちらか | |||
| 代理店との打ち合わせに同席するか | |||
| 実行の担当者と体制 | |||
| 記録(日次・週次・月次) | |||
| 契約終了後に残るもの | |||
| 含まれる作業(箇条書き) |
この表を埋めていくと、金額の差がどこから来ているのかが見えます。安い会社が安い理由も、高い会社が高い理由も、この表のどこかに出ています。
当社も相見積もりは歓迎しています。比べていただいたほうが、条件が合うかどうかがはっきりするためです。
この章のまとめ
- CMO代行の見積書は、条件を入れれば誰でも出せる。確かめるのは紙ではなく体制と記録
- 確かめる5項目は、決めるのはどちらか/どちら側に立つか/試せる体制/記録の3段階/契約後に残るもの
- 相見積もりは金額欄ではなく、この5項目の答えを並べて比べる
予算からどの段階を選ぶか
ここまでは「何を見るか」の話でした。ここからは「いくらなら何ができるか」を書きます。
中小企業の経営者からご相談をいただくとき、最初に聞かれるのはこの質問です。「うちの予算で、何を頼めますか」。
段階ごとに、頼めることと頼めないことを並べます。
月10万〜20万円台:判断を相談する相手を置く
この段階で買えるのは、月に1〜2回、数字を一緒に見て、次に何をすべきかを相談できる相手です。
- 頼めること:現状の数字の読み方、優先順位の整理、代理店の提案が妥当かどうかの見立て、マーケティング戦略の方向づけ
- 頼めないこと:実行、実行の管理、日々の判断
社内に実行する人がいることが前提です。この段階を選んで失敗するのは、社内に手が一人もいない場合です。方針が出ても動かないため、資料だけが増えていきます。
逆に、実行する人はいるが判断する人がいない、という会社にはよく合います。経営者が一人で決めている状態から抜けたい、という段階です。
月30万〜60万円台:決めて、実行が動いているかまで見る
この段階から、決定と、実行の管理が入ります。
- 頼めること:戦略の決定、実行の進行管理、代理店や制作会社への指示、数字が動かないときの原因の切り分け
- 頼めないこと:実務そのもの(制作・運用の手を動かすこと)
週1回の定例が入ることが多い段階です。実行の担当は社内でも、既存の取引先でも構いませんが、その進行を見る人が入ることで、止まっている箇所が早く見つかります。
導入の事例として多いのは、広告は代理店に出しているが、その良し悪しを判断できる人が社内にいない、という形です。
月80万円以上:ほぼ専任として組織に入る
経営会議に定常参加し、常駐に近い形で関わる段階です。マーケティングの組織そのものを作り直すような場面で選ばれます。
年商の規模でいえば、この段階が現実的になるのは、マーケティングの予算が月数百万円を超えてからです。支援の費用が広告費を上回るのは、健全な形ではありません。
予算が足りないと感じたら
足りないのは予算ではなく、範囲かもしれません。
全部を頼もうとすると、どの段階でも金額は上がります。まず「いちばん困っていること」を1つに絞ると、月10万〜20万円台の相談から始められることがあります。
当社の場合、月15万円からのアドバイザー支援がその入口にあたります。まず外の視点を1つ入れて、そこから範囲を広げるかどうかを決める、という順番でも構いません。
この章のまとめ
- 月10万〜20万円台で買えるのは判断を相談する相手。実行する人が社内にいることが前提
- 月30万〜60万円台になると、戦略の決定と実行の管理が入る
- 月80万円以上は、ほぼ専任として組織に入る段階
- 予算が足りないときは、困っていることを1つに絞ると始められる
金額を下げたいときに、できること
提示された金額が予算に合わないとき、値引きを頼む前にできることがあります。範囲を動かすほうが、話が早く進みます。
範囲を1つに絞る
「マーケティング全般」で頼むと、どの会社でも金額は上がります。関わる領域が増えるほど、稼働も責任も増えるためです。
いちばん困っていることを1つに絞ってください。広告の判断なのか、サイトからの問い合わせなのか、営業に渡すまでの流れなのか。1つに絞ると、月10万〜20万円台の相談から始められることがあります。
期間を区切る
継続の契約ではなく、3か月だけ入ってもらって、その間に判断の基準を作るという頼み方もあります。
このとき大事なのは、期間の終わりに何が残るかを先に決めておくことです。数字の見方、優先順位のつけ方、代理店への指示のしかた。これらが社内に残れば、そのあとは自社で回せます。
実行は内製のまま、判断だけを外に出す
支援の金額を押し上げるのは、実行の部分です。実行は内製のまま、あるいはいまの取引先に残し、判断だけを外に出すと、費用は下がります。
これは前半に書いた相談の形と同じです。実行は代理店に残したまま、事業の側に立つ人が入る。この形が成立するのは、実行する先がすでにある場合です。
スポットの相談から始める
まず一度だけ見てもらう、という入り方もあります。ただし、1回の相談で分かることには限りがあります。数字の癖は、何か月か見て初めて見えてきます。入口としては良い形ですが、それだけで判断の基準までは作れません。
値引きを頼むときに起きること
金額だけを下げてもらうと、稼働が減ります。打ち合わせの回数が減るか、見てもらう範囲が狭くなるか、担当者が代わるかのいずれかです。
同じ内容のまま安くなることは、あまりありません。だとすれば、どこを減らすかを自分で決めたほうが、納得できる形になります。
金額だけを下げてもらうより、範囲を自分で動かすほうが、納得できる形に着地します。
その金額は、月いくらの人を何割使う契約か
見積もりの金額が妥当かどうかを確かめるとき、開発の現場で使われている方法があります。人月(にんげつ)で割り戻すやり方です。
システム開発の外注では、見積もりを受け取ったプロデューサーが「この金額は、月いくらの人が何人月ぶん入る計算か」を必ず確認します。金額の総額ではなく、単価と稼働の掛け算に分解するわけです。
CMO代行の見積もりにも、そのまま使えます。
割り戻してみると、何が見えるか
たとえば月60万円の契約で、稼働が週1回の定例と、その前後の確認だけだとします。月の稼働をおよそ4割と見れば、フルタイム換算で月150万円の人に相当します。
この数字が高すぎると感じるか、妥当と感じるかは、その人が誰かによって変わります。事業会社でマーケティングの責任者をしていた人なのか、代理店で運用を担当していた人なのか、独立したばかりの人なのか。
逆に、月15万円で「戦略から実行まで一貫して支援します」と書かれていたら、割り戻すと数字が合いません。フルタイム換算で月40万円前後の人が、責任者の役割を担う計算になります。金額が安いことより、書かれている範囲と単価が噛み合っていないことのほうが問題です。
割り戻すために聞くこと
- 月あたり、どのくらいの時間を見ていただけますか
- 担当されるのはどなたで、これまでどういう立場で仕事をされてきましたか
- その方は、同時に何社を担当されていますか
3つ目は聞きにくい質問ですが、答えは金額の意味を変えます。同時に10社を持っている人の「月60万円」と、3社に絞っている人の「月60万円」は、届く手の量が違います。
正社員を採る場合と比べるときも、同じ計算をする
正社員のマーケティング責任者を採用する場合、比較の材料は求人サイトに出ています。
2026年8月25日、転職サイトに掲載されているマーケティング責任者クラスの募集を見たところ、提示されている年収はおおよそ次の範囲でした。
- 部長・責任者クラス:年収600万〜1,200万円台が中心
- CMO・事業を統括する立場:年収700万〜1,500万円前後
- 大手や外資のブランド責任者:年収1,500万〜2,500万円の募集もある
同じ「マーケティング責任者」でも、扱う予算と背負う範囲で倍以上の開きがあります。CMO代行の金額が10倍違うのと、同じ理由です。
そのうえで、採用と比べるときに足すものが3つあります。
- 採用にかかる費用(人材紹介を使う場合、年収とは別に紹介手数料がかかります)
- 決まるまでの期間(募集を出してから入社まで数か月。その間、マーケティングは止まります)
- 決まらない可能性(責任者クラスの募集は応募が集まりにくく、半年続けて決まらないこともあります)
たとえば年収1,000万円の方を採用すると、月あたり83万円です。ここに社会保険料と採用の費用が乗ります。
この数字と、外に頼む場合の金額を人月で割り戻した数字を並べると、ようやく同じ土俵に乗ります。月60万円の契約が高いかどうかは、この比較をして初めて判断できます。
外に置く利点は切り替えられることで、欠点は社内に人が育ちにくいことです。この欠点は放っておくと必ず出ます。作業だけを外に出していると、期間中は数字が動いても、契約が終わった時点で元に戻ります。
だから当社では、決定の理由を記録に残し、判断の基準を社内に残すところまでを範囲に含めています。
契約したあとの最初の3か月と、よくある失敗
金額の話が決まったあと、実際に何が起きるのかも書いておきます。導入してから成果を判断できるまでには、時間がかかります。
1か月目:現状の整理と、優先順位を決める
最初にやることは、施策を増やすことではありません。いま動いているものを並べて、やめるものを決めることです。
このとき必ず出てくるのが、「良し悪しを判断できない施策」です。数字は出ているが、それが良いのか悪いのかを比べる相手がいない。まずここに物差しを入れます。
決裁される方には、この月に一度は同席していただきます。やめる判断は、担当者の説明が伴うため、同じ立場の人間からは出しにくいためです。
2か月目:決めたことを動かす
方針が決まったら実行に移ります。伴走の形が実際に動き出すのは、ここからです。実行するのは社内でも、代理店でも構いません。ここで見るのは、決めたことが実際に動いているかです。
止まる原因は2つです。実行する人の手が足りないか、決めたことが現場に伝わっていないか。どちらも早く見つければ戻せます。
3か月目:数字を見て、続けるか変えるかを決める
ここで初めて、判断ができます。1か月では、決めたことが良かったのかどうかを判断できません。当社がコンサルティングの契約を3か月からにしているのは、この期間があるためです。
KPIは、この時点までに決めておきます。何を見て「進んでいる」と判断するのかを、先に揃えておくためです。問い合わせの件数なのか、商談の数なのか、受注の金額なのか。ここを決めずに走ると、3か月後に「なんとなく良くなった気がする」で終わります。
よくある失敗5つ
事例として多いものを挙げます。金額の話とは別のところで、うまくいかない理由が生まれます。
1. 実行してもらえると思っていた(範囲の認識違い)
いちばん多い失敗です。「戦略から実行まで」と書かれた提案を受けて契約したら、実行は自社だった、という形です。契約前に、含まれる作業を箇条書きで出してもらうことで防げます。
2. 実行する人がいないまま始める
助言が中心の契約は、動かす人が社内にいる前提で成立します。方針が出ても手がなければ、資料が増えるだけです。この場合は、実行まで含む段階を選ぶか、実行する先を先に決めるかのどちらかです。
3. 決裁される方が出てこない
方針が決まらないため、途中で止まります。担当者だけで進めた結果、3か月かけて決めたことが、最後の報告で覆るということが起きます。
4. 成果の定義がないまま走る
何をもって成果とするかを決めていないと、期間の終わりに評価ができません。成果報酬型の契約では、これが揉め事に直結します。
5. 記録が残らず、次に活かせない
日々の変更が記録されていないと、数字が動いた理由を後から追えません。良くなった月も、悪くなった月も、なぜそうなったのかが分からないまま過ぎていきます。
導入してから判断できるまでには、最短でも3か月かかります。この期間を待たずに評価すると、良し悪しの判断そのものを誤ります。
契約したあと、段階を上げるとき・下げるとき
契約は一度決めたら終わりではありません。事業の状況が変われば、必要な段階も変わります。
上げたほうがよいのは、決めることが増えたときです。扱う媒体が増えた、商品が増えた、担当者が辞めた。こういうときは、判断の量が増えているので、関わる頻度を上げたほうが早く進みます。
下げてよいのは、社内で回るようになったときです。数字の見方が定着し、代理店とのやりとりも社内でできるようになれば、月1回の相談に戻して構いません。当社としても、そこまで行けば良い形だと考えています。
止めてよいのは、マーケティング以外に力を割くべき時期が来たときです。この点は後半に改めて書きます。
段階を変えられる契約かどうかは、最初に聞いておいてください。年間契約で固定されていると、事業の状況が変わっても動かせません。
グロアの場合(月15万円〜と月60万円〜の線引き)
当社の料金と、その線引きの理由を書きます。金額の理由を説明できない会社を選ばないでいただきたいので、自分たちの分から書きます。
アドバイザー支援:月15万円〜(契約1か月から) 月2回、オンラインで打ち合わせをします。数字を見て、どこに問題があるか、次に何をすべきかをお伝えします。実行は貴社で進めていただきます。まず外の視点を入れたい、という段階に向いています。
コンサルティング:月60万円〜(契約3か月から/サービス名は「総合マーケティング伴走」) 方針を決定し、実行まで管理します。週1回の定例で進行を確認し、止まっている箇所があれば原因を特定します。
実行は貴社でも、いまの取引先でも、当社でも構いません。
実行代行:お見積り 実務までお引き受けします。上記2つと組み合わせられます。
15万円と60万円を分けているのは、打ち合わせの回数ではありません。方針を決めるのがどちらか、実行を管理するのが誰かです。
アドバイザー支援では、決めるのは貴社で、当社は材料と見立てをお出しする役割です。コンサルティングでは、当社が方針を決め、実行が動いているかどうかまで見ます。背負うものが違うので、金額が違います。
単発の作業では終わらせない形でお引き受けしているのは、作業だけを請け負うと契約終了と同時に元へ戻ってしまうためです。
なお、運用の費用は広告費や制作費とは切り離した定額でいただいています。表示はすべて税別です。
当社の月15万円〜と月60万円〜を分けているのは、打ち合わせの回数ではなく、方針を決めるのがどちらか、実行を管理するのが誰かです。
よくある質問
Q. 最低いくらから頼めますか
CMO代行は、月15万円からのアドバイザー支援がいちばん軽い形です。月2回の打ち合わせで、実行は貴社に残ります。「まず外の視点を入れたい」という段階であれば、ここから始められます。
Q. 広告費は料金に含まれますか
CMO代行の月額に、広告費は含まれません。運用の費用は、広告費や制作費とは切り離した定額でいただいています。込みにすると、何にいくら払ったのかが後から分からなくなるためです。
Q. いまの代理店を切る必要がありますか
CMO代行を頼むために、いまの代理店を切る必要はありません。現在の体制を止める前提ではお話ししません。足りない部分だけをお手伝いする形も、代理店の提案を評価する役に回る形も承ります。
Q. 相見積もりでも構いませんか
CMO代行の相見積もりは、取っていただいて構いません。むしろ比べていただいたほうがよいと考えています。その際は金額だけでなく、この記事に書いた5項目を全社に聞いてみてください。条件が合わないと判断された場合は、その理由をお知らせいただけると助かります。
Q. CMO代行とマーケティング顧問は、どう違いますか
言葉としては、顧問のほうが助言中心の関わりを指すことが多く、CMO代行のほうが実行の管理まで含むことが多い、という傾向はあります。ただし業界で決まった線引きはありません。
同じ内容を別の名前で売っている会社も、別の内容を同じ名前で売っている会社もあります。名前ではなく、含まれる作業を箇条書きで確認してください。
Q. マーケティングの戦略だけ、実行だけでも依頼できますか
CMO代行は、戦略だけ・実行だけでも依頼できます。ただし戦略を決めずに実行だけをお引き受けすると、成果が出たかどうかの判断ができなくなります。最初の整理だけはご一緒させてください。
Q. 契約期間の途中で解約できますか
CMO代行の契約期間は会社によって違います。当社の場合、アドバイザー支援は1か月から、コンサルティングは3か月からです。3か月という期間は、決めて、動かして、数字を見るまでに必要な時間として設定しています。他社と比べる際は、期間の縛りに理由が説明されているかを見てください。
Q. 自社の業種を経験していない会社に頼んで大丈夫でしょうか
CMO代行を選ぶとき、業種の経験は必須ではありません。業種の知識より、数字の読み方と判断の順序のほうが移せるためです。業種特有の事情は最初の1か月でお聞きします。ただし、業界の商習慣が特殊な場合(許認可や販売経路に制限がある業種など)は、そこを先にお伝えください。
Q. まだ計画の段階ですが、相談してもよいですか
CMO代行は、計画の段階からご相談いただけます。何から考えるべきかが定まっていない段階で構いません。お話をうかがった結果、現時点では不要と判断した場合は、その旨をお伝えします。
Q. どのくらいの期間で成果が出ますか
CMO代行で成果を判断できるまでには、3か月かかります。方針を決めて、実行して、数字が動いたかどうかを見るまでに、それだけの期間が必要なためです。コンサルティングの契約を3か月からにしているのは、この期間があるためです。
ただし、いま出ている数字の読み直しであれば、最初の打ち合わせからお伝えできることがあります。「この数字は、何と比べて良いのか」を整理するところからです。
Q. 提案に来た方が、そのまま担当してくれますか
CMO代行を頼むときは、提案に来た人がそのまま担当するかを必ず確認してください。提案の場に責任者が出てきて、契約後は別の担当者に代わるという形は、支援の業界では珍しくありません。担当が代わること自体が悪いわけではありませんが、誰が実際に見るのかを知らないまま契約すると、期待していた水準と食い違います。
当社の場合は、代表が担当します。
Q. 提示された金額は、交渉できますか
CMO代行の金額は、値引きをお願いするより、範囲を動かすほうが早く決まります。困っていることを1つに絞る、期間を3か月に区切る、実行を社内に残す。この記事の「金額を下げたいときに、できること」に書いた4つをご覧ください。
Q. 社内のマーケティング担当と、役割はどう分けますか
CMO代行と社内の担当者は、実行と決定で役割を分けます。担当者の方には実行と、社内の調整をお願いします。外の人間には、社内の力関係を動かす権限がないためです。戦略の決定と、その説明の材料を用意するところを当社が担当します。
Q. 複数の支援会社に同時に頼んでもよいですか
CMO代行を複数社に頼むことは、領域が分かれていれば問題ありません。ただし、マーケティング戦略の決定を2社に頼むのは避けてください。方針が割れたときに、決める人がいなくなります。
Q. 社内に詳しい担当者がいませんが、頼めますか
社内にマーケティングの担当者がいない状態でも、CMO代行は頼めます。専門用語を使わずにご説明します。ただし、進行の要所では決裁される方に月1回ほど同席をお願いしています。方向の確認がその場で済み、手戻りがなくなるためです。
いま頼まないほうがいい場合
ここまで書いておいて何ですが、いま当社に頼まないほうがいい場合があります。先にお伝えします。
1. 広告を止めて、営業や販売の体制づくりに時間を使っている段階
広告を止めている時期、あるいは広告費を抑えて社内の営業体制を整えている時期であれば、マーケティングの伴走は一度止めて、そちらを優先したほうがいいと考えています。集客の手前で詰まっているときに、集客の設計だけを進めても、増えた問い合わせが行き場を失います。
2. 社内に実行する人が一人もいない
助言が中心の契約は、実行する人が社内にいる前提で成立します。方針が出ても動かす人がいなければ、月15万円は資料代になります。この場合は、実行までを含む形にするか、時期を待つかのどちらかです。
3. 決裁される方が出てこない
方針が決まらないためです。段階を上げても、決める場に決める人がいなければ止まります。
当社側の限界も1つ書いておきます。当社は、総合代理店やイベント会社のように実行の手を厚く持っているわけではありません。
リアルイベントや制作物など、人が動いて形にする仕事をまとめて外に出したいという依頼には向きません。その場合は、実行の体制を持つ会社を選んでください。
向いているのは、デジタルの領域です。SNSやウェブ広告といったオンラインでの集客から、顧客化、その後の顧客育成(CRM)までを一本の線として見る仕事です。
逆に、向いているのはこういう場合です。
- 実行する先はあるが、それが正しく回っているかを見る人がいない
- 代理店や制作会社との間に立つ人がほしい
- 判断を相談する相手がいない
この章のまとめ
- 広告を止めて営業や販売の体制づくりに時間を使っている段階は、CMO代行を頼む前に社内を整えるほうが先
- 実行する人が社内に一人もいない場合、助言中心の契約は成立しない
- 決裁される方が出てこない場合、段階を上げても方針は決まらない
- グロアはリアルイベントや制作物の実行には向かず、デジタルでの集客から顧客育成までが範囲
まとめ:見積もりを受け取ったときのチェックリスト
CMO代行の相場は、助言が中心なら月5万〜40万円、実行の管理まで入ると月30万〜80万円、ほぼ専任なら月80万〜200万円です。ただし金額の幅そのものより、その金額が何の段階を指しているかを読むほうが役に立ちます。
見積もりを受け取ったら、次の5つを確かめてください。そのまま社内の検討でお使いいただけます。
- 方針が分かれたとき、最後に決めるのはどちらか。明確に答えられない会社は、社内でも決まっていません
- 事業の側に立つのか、実行の側に立つのか。打ち合わせに同席するか、数字を日常的に見るかで分かります
- 実行を回せる体制と、試している数が増えているか。費用が増えたのに試行が増えないのは、止まっている状態です
- 記録が3段階で残るか。日次は変更内容、週次は数字、月次はレビュー。日次がないと数字が動いた理由を追えません
- 契約が終わったとき、判断の基準が社内に残るか。決めたこと、決めなかったこと、その理由の3つで足ります
複数社を比べるときは、金額の欄ではなく、この5項目の答えを並べてください。金額の差に説明がつきます。
もう一度だけ、いちばん大事なところを書きます。CMO代行の金額を分けているのは、作業の量ではありません。方針を決めるのが自社か先方か、実行を管理するのが誰か。この2つです。
だから、いま自社に足りないものが「手」なのか「判断」なのかを先に決めてください。手が足りないのに判断だけを買っても動きませんし、判断が要るのに手だけを増やしても、進む方向は変わりません。
そのうえで金額を見れば、月15万円のものと月100万円のものが、別の商品であることが分かるはずです。
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よくある誤解
最後に、金額まわりでよく聞く誤解を3つ挙げます。
「安い会社は経験が浅い」 必ずしもそうではありません。範囲を助言だけに絞っている会社は、経験があっても金額を抑えられます。見るべきは金額ではなく範囲です。
「高い会社ほど成果が出る」 金額と成果は直接つながりません。つながるのは、金額と、相手が背負う範囲です。背負う範囲が広くても、決裁される方が出てこなければ結果は変わりません。
「マーケティング戦略は一度作れば終わり」 事業が動けば方針も変わります。だから継続の契約が多く、その分だけ金額の見え方が大きくなります。3か月で作り切って終わる形もありますが、その場合は社内で更新できる状態にしておく必要があります。
おわりに
この記事を書くために20社の料金ページを開いて、いちばん強く感じたのは、買う側が比べられる形になっていないということでした。
金額は書いてあり、段階も分かれています。それでも自社に必要なのがどれなのかは、値札からは読み取れません。名前も、区切り方も、含まれる範囲も、会社ごとに違うためです。
だとすれば、比べる物差しは買う側が持つしかありません。この記事に書いた5項目は、そのための物差しです。どの会社に頼むとしても使えます。当社に相談されない場合でも、そのまま持っていってください。
そのうえで、いま自社に足りないのが「手」なのか「判断」なのかを決めてから、金額を見てください。足りないものが分かっていれば、月15万円のものと月100万円のものが、別の商品として見えてきます。
参考にした資料
いずれも2026年8月24日に参照した、各社の公開ページです。本文の相場は、これらに書かれている金額から作成しました。金額の記載があったページには、その内容を添えています。
関与の段階ごとに料金を公開しているページ
- CMO代行の料金相場(月15万〜40万/40万〜80万/80万〜200万円以上の3段階)
- CMO代行とマーケティング顧問の違いと費用(月10〜30万/30〜80万/80〜150万円の3段階)
- 外部CMOの費用相場(スポット顧問 月5〜15万/アドバイザリー 月15〜30万/実務込み 月30〜80万円)
- 外部CMOの費用相場と選び方(月30万〜100万円が中心)
- CMO代行の費用相場(月10万〜50万円前後)
サービスページで料金を公開しているもの
- CMO代行・レンタルCMO(月額50万円〜/100万円〜)
- CMO代行プラン(月100万円〜)
- CMO代行サービス(Lite/Standard/Growth/Campの4段階)
- 外部CMO・社外CMOサービス(発注額 月20万円)
- CMO代行・マーケティング戦略支援(個別見積)
費用の考え方に触れているもの
- おすすめのCMO代行サービス比較(月額定額制の例:月2回 33万円/40時間 66万円/80時間 132万円)
- CMO代行とは(月額制が中心。広告費などの実費は別途)
- CMO代行の費用相場と契約形態
- CMO代行サービスの比較(社内CMO雇用との違い)
正社員の年収について
2026年8月25日に転職サイトの掲載を確認しました。マーケティング責任者クラスの募集で提示されている年収の範囲は、マーケティング本部長の求人一覧などで公開されています。本文に挙げた範囲は、この時点で掲載されていた金額から拾ったものです。
職種の統計について
厚生労働省「職業情報提供サイト(job tag)」を2026年8月24日に確認しました。マーケティング責任者にあたる職種のデータは無く、掲載があるのは調査を担当するマーケティング・リサーチャーです。本文で年収の統計値を挙げていないのは、この理由によります。