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ストーリー

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施策では勝てたのに、事業は終わりました。何があったのかをお話しします。

獲得率は戻りました。それでも事業は終わりました

獲得率が4%まで落ち込んだサービスを担当したことがあります。市場での位置は下位25%でした。原因の見立てはすぐに立ちました。対象を広げすぎていたのです。誰にでも売れるように作った結果、どの層にも刺さらない商品になっていました。

実施したのは、絞り込みでした。狙う相手をそれまでの10分の1以下に減らしています。売る相手を増やすのではなく、売らない相手を決める判断だったため、社内からは当然のように反対も出ました。市場を自ら狭める提案ですから、無理もありません。

獲得率は11%まで回復し、位置も上位25%へ移りました。これで立て直せる、と考えていました。

獲得率が4%から11%へ回復し、市場の下位25%から上位25%へ移ったものの、その後に事業が終了したことを示す折れ線グラフ
獲得率は4%から11%へ。その回復の先で、事業の終了が決まりました。

解くべき課題は、施策の外側にありました

数字は動き、施策は機能していました。にもかかわらず事業は続きませんでした。

のちに入った別の現場では、1件を獲得するためにかけてよい上限が、競合相場の倍以上の水準で目標に据えられていました。その数字では採算が合わないことを、現場の全員が理解しています。会議の場でも複数回、話題にのぼりました。

それでも、止まりません。若手が疲弊し、中堅がもがき、担当者が入れ替わっていくあいだも、開発と出稿だけは進んでいきました。

誰が決めても、同じことが起きていました

意思決定の場に正解は用意されていません。それでも期日は訪れます。過去の数値は参考にはなりますが、次に何が当たるかまでは教えてくれない。その条件のもとで判断を下し、予算を動かすことになります。

したがって、優秀な担当者が隣にいたとしても、決定そのものが外れていれば結果は出ません。最初に担当した事業で起きていたのも、同じことでした。

では担当者の層を厚くすればよいかといえば、それも解にはなりませんでした。経験の浅いマーケターを増やしても、事業を左右する判断を委ねることはできません。かといって熟練の経験者を充てても、ひざを突き合わせて語り合える関係が築けるとは限らない。商品理解がおぼつかないまま、時間だけが過ぎていきます。

つまずきは、売り始める前に決まっています

いくつもの現場を見てきて、共通する形が見えてきました。多くの企業は、相応の投資をして商品を作り込んでから販売に入ります。結果が出なければ早い段階で撤退を判断する。事業としては正しい振る舞いです。

問題は、その撤退が「売り方が悪かった」の一言で片づけられてしまう点にあります。実際には、売り始める前の設計段階ですでに勝負が決まっていることが少なくありません。

とりわけ多いのが、マーケティングの経験を持たないプロデュース側が構想し、マーケティング部門との対話がないまま世に出る流れです。誰に向けた商品なのか、どの言葉で選ばれるのかが定まらないまま完成品ができあがるため、販売の段階で打てる手が限られてしまいます。

相談したい相手に、なかなか出会えない

マーケティングも、事業の数字も、プロダクトの事情も理解している人材は、それほど多くありません。事業責任者の多くはそうした相手と話したいと考えていますが、実際には出会う機会がないまま進んでいきます。

社内にいるマーケターには立場があり、長く付き合う支援会社には契約を継続したい事情があります。どちらも、思ったことをそのまま口にしにくい位置にいる。その結果、決定権を持つ人のもとには、反対しない意見ばかりが集まっていきます。

足りなかったのは人数でも能力でもなく、忖度なく意見を返せる相手だったと考えています。

まだ間に合うフェーズの商品を、救いたい

獲得率を戻したあの事業のことを、いまでも思い返します。施策では勝てたにもかかわらず、その先にあった事業課題には手が届きませんでした。何を課題と見なすか、何を売ると決めるか。その場に外部の立場で加われる人間がいれば、違う結末があったかもしれません。

この経験から、グロアは一つの会社にとどまらず、複数の事業に外から関わる形を選びました。事業会社の内側で積んだマーケティングの経験を、本当に必要としている事業責任者やマーケターに届けるためです。

売れなかった商品の多くは、商品そのものが悪かったわけではありません。手を入れる余地が残っているうちに、正しい問いを立て直せるかどうかで結果は変わります。まだ間に合う段階にある商品を、一つでも多く残したいと考えています。

おかしいと感じたことは、そのままお伝えします

お引き受けした実務は、着実に進めます。そのうえで、進めるなかで違和感を覚えた施策は、そのままにしません。止めたほうがよいと考えた場合は、理由とあわせて、こちらから停止を提言します。社内の立場も、契約を続けたい事情もない外部だからこそ、率直にお伝えできます。

ご相談への答えに、その手前にある課題まで添えてお返しする。外部の立場で関わる価値は、そこにあると考えています。