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ターゲティングの絞り込みで、CVRはどこまで動くか

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ターゲットを絞ろうという話が出るたび、会議は同じところで止まります。絞ったほうが刺さるのは全員わかっていて、それでも、届く人数が減るぶんの取りこぼしが怖い。

対象を大きく絞ったことがあります。コンバージョン率(CVR)は4%から11%になりました。それでも、その事業は終わりました。

絞ると何がどこまで動くのか。そして、数字を戻せたのになぜ終わったのか。順に書きます。

この記事でわかること

  • 率と件数は別々に動く。届く人数が1/5になって率が3倍なら、申し込みは0.6倍に減る
  • 見るのは申込者ではなく来た人の全体。申込者は既に選ばれたあとの人たちなので、来る人の質は読み取れない
  • 絞ると件数はその日から落ち、成約は後から出る。何ヶ月見るかを先に決めないと谷の途中で止まる

この記事はCVR改善の一部です。

目次
  1. 絞ると、CVRは4%から11%まで動いた
  2. 率が上がっても、件数は減ることがある
  3. 絞る前に見るのは、どこで落ちているか
  4. 絞ったあと、数字はすぐには揃わない
  5. 数字が戻っても、事業は終わった
  6. 絞る判断を、誰が決めるのか
  7. ここまでの話が、逆に効かない場面
  8. まとめ:今日、1つだけ数えてみてください
  9. よくある質問
  10. 参考にした資料

絞ると、CVRは4%から11%まで動いた

担当したのは、組織の都合でターゲットを広げすぎたサービスでした。誰にでも当てはまる言い方になり、誰にも刺さらない。コンバージョン率は4%まで落ちていました。

やったのは、ターゲットを大きく絞ることです。買う可能性のある層を残し、それ以外に向けた言葉を全部落としました。測っていたのは、ストアのページを見た人のうち、アプリを入れた人の割合です。

結果は4%から11%になりました。この絞り込みの記録は対象を絞ったリブランディングに置いています。

率が上がっても、件数は減ることがある

絞れば、届く人数は減ります。率は上がります。この2つは別々に動きます。

かけ算にすると、はっきりします。

  • 届く人数が半分になって、率が3倍なら → 申し込みは1.5倍
  • 届く人数が1/5になって、率が3倍なら → 申し込みは0.6倍

下の行では、率が3倍になったのに申し込みは減っています。

だから、先に決めておきます。件数を見るのか、率を見るのか、その先の成約数を見るのか。

  • 率だけを見るなら、絞る判断はいつでも通ります
  • 件数だけを見るなら、絞る判断はいつでも止まります
  • 決まらないまま議論すると、話は堂々巡りになります

見るなら成約数です。届く人数 × 率で出ます。この計算を先に出しておくと、会議が早く終わります。

当時の私が会議に出したのは、率だけでした。 成約数まで並べていれば、絞る範囲を決める議論に数字が入っていました。

この章のまとめ

率と件数は別々に動きます。届く人数が1/5になって率が3倍でも、申し込みは0.6倍に減ります。見るのは成約数(届く人数 × 率)です。

絞る前に見るのは、どこで落ちているか

絞る判断に入る前に、確かめることが2つあります。まず1つ目。落ちているのは、来る人の質か、来たあとの見せ方か。

見るのは来た人の全体です。申し込んだ人だけを数えると、既に選ばれたあとの人たちを見ることになるので、来る人の質はそこから読み取れません。

来た人の中に、想定していない層が多いとします。ここは2つに読めます。

  • 来る人がずれている → 絞る話になります
  • 想定のほうがずれている → 想定を捨てて、実際に買っている層に寄せる話になります

現場では、後者のほうが多い。「うちの客はこういう人のはずだ」が何年も前のまま置かれていることは、よくあります。どちらなのかを決めてから絞ります。

来た人の数が十分で、想定どおりの層も来ているのに申し込みが少ないなら、見せ方のほうです。この場合はターゲットを触らず、フォームや導線の改善から入ったほうが早く戻ります。

2つ目は、規模です。絞った先だけで、事業の目標に届くか。 残す層の数と、そこから見込める成約数をかけて、足りるかを先に見ます。当時の私は、これを検算しないまま絞りました。

この章のまとめ

確かめるのは2つ。来た人の全体に想定外がどれだけ混じっているかと、残す層だけで目標に届く規模があるか。どちらも、絞ったあとでは確かめられません。

絞ったあと、数字はすぐには揃わない

絞ると、件数はその日から落ちます。成約は、あとから出てきます。

この間、件数だけが悪くなって見えます。 絞る判断が社内で覆るのは、たいていここです。「やっぱり広げよう」という声は、成約が出そろう前に来ます。

だから、始める前に2つ決めておきます。

  • 何ヶ月見るか。 商談から成約までにかかる期間より短くしない
  • その間、何を見るか。 件数ではなく、率と、想定した層からの申し込み

決めずに始めると、谷の途中で止まります。あとに残るのは、絞りかけて戻した中途半端な状態です。

数字が戻っても、事業は終わった

私が入ったとき、その商品は誰に向けた言葉なのか分からなくなっていました。「この層も取れるはずだ」という声が通るたびに対象が増えた結果です。絞り直したのは、その積み重ねで4%まで落ちた数字でした。

11%まで戻りました。そして、なぜ広がったのかという仕組みは、そのまま残っていました。

事業はクローズしました。

施策で戻せるのは数字までです。 誰が決めるか、どういう理由で決まるか。ここは施策の外にあります。

絞る判断を、誰が決めるのか

絞ると、社内から必ず声が出ます。「その層も取れるのでは」「あの案件を捨てるのか」。

この声は、悪意ではありません。誰も嘘をついていない。 それぞれが自分の持ち場から、取れるはずのものを言っているだけです。

だから、決める人を先に置きます。

  • 絞る範囲を最後に決める人を1人にする(合議だと、広がる方向にしか動きません)
  • その人に、件数と率と成約数のどれを見るかを渡しておく
  • 広げたい声が出たときは、その層で何件取れたかを数字で見る

3つ目が効きます。感覚で広げると戻りますが、数えると戻りにくくなります。

同じことは広告の数字でも起きます。獲得単価が下がったのに事業の売上が動かないときの見つけ方は、CPAが下がったのに売上が増えない理由 に書きました。

ここまでの話が、逆に効かない場面

同じやり方が裏目に出る場面が3つあります。当てはまるなら、絞る前に別の手を打ってください。

1つ目は、立ち上げたばかりのとき。 誰が買うかがまだ分かっていない時期に絞ると、当たりを引く前に的を狭めることになります。

2つ目は、申し込みが月に数件のとき。 割合で見ると、1件の増減で大きく振れます。この規模では、割合より1件ずつの中身を読んだほうが早い。

3つ目は、絞ること自体が目的になっているとき。 「絞ったほうが良いらしい」で始めると、根拠なく削ることになります。落ちている場所を先に確かめてください。

まとめ:今日、1つだけ数えてみてください

会議を開く前に、自分の手で確かめられます。

先月の申し込みを開いて、想定した相手が何人いたかを数えてください。

数十件あるなら、割合で見えます。数件しかないなら、1件ずつ中身を読んだほうが早い。想定と違う人ばかりなら絞る話、想定どおりの人が来ているのに申し込みが少ないなら見せ方の話です。

絞るかどうかを議論するより、この数字のほうが先に要ります。

よくある質問

Q. どこまで絞ればよいか、目安はありますか。

いまの申し込みの中身から決めます。 業種や規模に共通の目安を当てても、外れます。手順は本文の「絞る前に見るのは、どこで落ちているか」に書きました。

私が担当したときも、元が広がりすぎていたので大きく絞りましたが、「何分の1にする」と決めて始めたわけではありません。

Q. 自社のコンバージョン率が高いか低いかは、何と比べれば分かりますか。

自社の先月と比べるのが、いちばん確かです。

外の平均は、測っている場所が資料ごとに違います。

たとえば海外のB2B SaaSでは、ランディングページの中央値が3.8%、上位25%が11.6%という調査があります(Unbounce・41,000ページ以上・2024年)。この記事で挙げた11%はストアからのダウンロード率なので、数字は近くても中身は別のものです。

業界別の数字として出てくるものは、調べた範囲ではいずれも海外の調査でした。だからこそ、比べる相手は自社の過去に置いたほうが、判断が速くなります。

参考にした資料

あわせて確認した資料

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この記事を書いた人

たけまるマーケティングディレクター

事業会社で17年、マーケティングの現場と決裁の場にいました。広告・コンテンツ・データのどれか一つではなく、売り方全体を決める側から見た話を書きます。