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美容室の次回予約率を上げる順番

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売上を客数・単価・回数の3つに分け、次回予約が動かすのは回数だけであることを示した図

次回予約が取れません。声のかけ方は変えてみた。タイミングもずらした。それでも次回予約率は思ったほど上がりません。月末に数えるのも、だんだん億劫になってきます。

先に、話の向きを1つ変えておきます。次回予約率を上げて動くのは「客数」ではなく「回数」です。同じ人が1年に何回来るか。そこだけが動きます。

次回予約はリピート率を上げる施策として語られることが多いのですが、リピート率という言葉は指しているものが広すぎます。サロンの売上で実際に動く場所まで絞ると、話が具体になります。

だから最初に決めるのは、声のかけ方ではありません。年間何回に戻したいのかです。ここが決まっていないと、取れた・取れなかったの判断ができません。

この記事では、声かけの文言そのものは扱いません。美容室の接客を、私は経験していないからです。扱うのは、誰に・いつ声をかけるかを決める数字まで。文言については、現場を持つ方が公開しているものを後半で紹介します。

その代わり、発注する側で広告の数字を事業の実売と突き合わせてきた立場から、1つだけ先に置いておきます。次回予約が「取れた」と言うとき、その数を数えている場所が、店の中に1つに定まっていないことがあります

この記事でわかること

  • 次回予約が動かすのは客数ではなく回数。減っているのも単価ではなく回数(-2.8%)
  • 取れた件数と、その予約で実際に来た件数は別の数字。3列目を数えないと売上が変わらない
  • 詰まるのは月全体ではなく土日の午後。埋めない枠を先に決めてから提案を増やす

この記事はBtoCマーケティングの一部です。

目次
  1. 減っているのは客数ではなく、来店の回数
  2. 経営上の問題の1位は「客数の減少」
  3. 業界団体は「利用回数の減少」と書いている
  4. 実測でも、動いていないのは単価のほう
  5. 次回予約が動かすのは、売上の3つのうち「回数」だけ
  6. 新規が増えるわけではない
  7. 「リピート率が上がる」で止めない
  8. 提案の間隔は、年間何回に戻したいかから逆算する
  9. 実測値を出発点に置く
  10. 全員を同じ間隔にしない
  11. 取れた数を、どこで数えているかが決まっていない
  12. 予約サイトの管理画面が数えているのは、その経路を通った予約だけ
  13. 数える場所を1つに決める
  14. 断られた回数も、同じ場所に記録する
  15. 取れた予約が、そのまま来店になるとは限りません
  16. スタッフ別の成績表にすると、声かけが硬くなります
  17. 客が通い続ける理由の1位は「ネット予約できる」
  18. 1位は人ではなく、予約の取りやすさだった
  19. 店頭で完結させる運用は、ここと衝突することがある
  20. 予約の手段は、年代で大きく違う
  21. 提案する場面は、客の予約手段に合わせて決める
  22. 私が足せるのは、噛み合わせの判断だけ
  23. 取れなかった人を、分けて扱う
  24. 声かけの中身は、現場のほうが詳しい
  25. 話しているのは、従業者5人未満の美容室のこと
  26. 次回予約で埋めてよい枠には、上限があります
  27. 費用は予約手段ではなく、経路に紐づく
  28. 料率まで公開している会社がある
  29. 規約で発生条件だけを示している会社がある
  30. 料金体系そのものを公開していない会社がある
  31. だから言えるのは、ここまで
  32. 予約サイトの外に、自分の入口があるか
  33. この方法が効かないのは、こんなとき
  34. よくあるつまずき
  35. 今日、1つだけ決めてください
  36. 参考にした資料

減っているのは客数ではなく、来店の回数

まず、いま業界で何が減っているのかを確かめます。ここがずれていると、打ち手の選び方ごとずれます。

経営上の問題の1位は「客数の減少」

厚生労働省の「美容業の振興指針」に、経営上の課題が挙がっています。令和7年3月に厚生労働大臣が決定し、令和7年4月1日から適用されているものです。

複数回答で最も多かったのが「客数の減少」でした。

次に多いのが「原材料費・諸経費の増加」で、以降は「客単価の減少」「立地条件・環境の変化」「人件費の上昇」と続きます(2026年8月28日参照)。 https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/seikatsu-eisei05/dl/240416-05.pdf

同じ指針が引いている日本政策金融公庫の調査(令和5年7〜9月期)でも、美容業の経営上の問題点は同じ並びでした。

順位問題点割合
1位顧客数の減少51.6%
2位仕入価格・人件費等の上昇を価格に転嫁困難32.4%
3位客単価の低下21.7%

半数を超える美容室が、客数の減少を挙げています。

業界団体は「利用回数の減少」と書いている

全日本美容業生活衛生同業組合連合会が厚生労働省に提出した資料にも、環境の悪い状況として「消費者の節約意識の定着による利用回数の減少と低料金競争の激化」が挙げられています。

この資料には発表日の記載がありません。2026年8月28日に参照した時点のものとして扱います。 https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/001166350.pdf

実測でも、動いていないのは単価のほう

数字で確かめます。

株式会社リクルート ホットペッパービューティーアカデミーが「美容センサス2026年上期」を解説した記事に、こうあります(2026年7月9日公開、2026年8月28日参照)。 https://hba.beauty.hotpepper.jp/search/column/c_hair/79913/

項目女性男性
年間平均利用回数4.18回(前年比 −2.8%)5.05回(−3.6%)
客単価7,686円(+0.2%4,853円(−0.5%)
滞在時間81分(前年差 −6分)49分(−4分)

美容室の市場規模は1兆3,063億円で、前年から5.9%縮んでいます。ただ、動いていないのは客単価のほうでした。女性は +0.2% です。減っているのは回数だけ、と読めます((株)リクルート ホットペッパービューティーアカデミー調べ)。

行政の指針、金融機関の調査、業界団体の資料、そして調査機関の実測。別々の出所が、同じ方向を指しています。

次回予約が動かすのは、売上の3つのうち「回数」だけ

美容室の売上は、3つに分けられます。客数、客単価、そして年間の来店回数です。

美容室の売上を客数・単価・回数の3つに分け、次回予約が動かすのは回数だけであることを示した図
美容室の売上を客数・単価・回数の3つに分け、次回予約が動かすのは回数だけであることを示した図

次回予約は、このうち回数だけを動かします。

新規が増えるわけではない

当たり前のようでいて、ここが混ざります。

次回予約を取っても、新しいお客さまは1人も増えません。いま目の前にいる人が、次に来る日を決めるだけです。客数は動きません。単価も、次回予約そのものでは動きません。

動くのは、その人の年間の来店回数です。年3回だった人が年4回になる。それが次回予約率を上げるということでした。

「リピート率が上がる」で止めない

上位の記事を10本読みましたが、次回予約の効果を「リピート率が上がる」「失客を防ぐ」までで説明しているものがほとんどでした。売上のどの変数が動くのかを分けて書いた記事は、1本もありません。

リピート率が上がるのは結果であって、そこに至る道筋は1本ではありません。新しいお客さまが増えてもリピート率は動きますし、既存の方の来店間隔が縮んでも動きます。次回予約が効くのは後者だけです。

分けておくと、判断が変わります。

新規が足りない月に次回予約を強化しても、その月の客数は増えません。逆に、回数が落ちているのに新規の集客だけを足すと、穴の空いたバケツに水を注ぐことになります。

広告でも同じ構図に何度も出会いました。数字は改善しているのに事業の売上が動かない、という状態です。見分け方はCPAが下がったのに売上が増えない理由に書きました。

この章のまとめ

次回予約は、客数を増やす施策ではありません。同じお客さまの年間の来店回数を戻す施策です。

提案の間隔は、年間何回に戻したいかから逆算する

「次はいつ頃に」と言うとき、その間隔はどこから来ているでしょうか。

多くの場合は経験則です。カラーなら6週間、カットなら2か月。それ自体は妥当なことが多いのですが、目標から逆算した数字ではありません

実測値を出発点に置く

先ほどの調査では、年間平均利用回数は女性4.18回、男性5.05回でした。2025年上期の調査では、女性の平均は4.30回。年代別に見ると、年代が高いほど回数が多く、女性60代の平均は5.61回です。

自店の平均が年3.5回だとします。これを4.5回に戻したい。そう決めた瞬間に、必要な間隔が出てきます。

12か月 ÷ 4.5回で、およそ2.7か月に1回。ここから逆算して「次は11週間後に」と提案する形になります。

全員を同じ間隔にしない

年代で回数が違うのだから、間隔も一律にはなりません。

いま年5回来ている人に「3か月後に」と言えば、回数はむしろ減ります。年2回の人に「6週間後に」と言えば、断られます。

いまの回数から動かせる幅は、1年に1回ぶんくらいと考えておくと、無理のない提案になります。

取れた数を、どこで数えているかが決まっていない

ここから、少し手前の話をします。次回予約率という数字が、そもそも正しく数えられているか、という話です。

美容サロンの支援をしている現場で、複数の方から同じことを言われました。

手で書いてもらったアンケートも、店の中で日々起きていることも、データになっていない。見えている数字は、外部の予約サイトが出してくれるレポートの範囲に限られている——。

予約サイトの管理画面が数えているのは、その経路を通った予約だけ

この意味は、次回予約の話になると大きくなります。

次回予約は、たいてい店頭で取ります。会計のとき、あるいは仕上げのあと。その場で決めた予約が、予約サイトの管理画面に載っているとは限りません。

店頭で取った予約、電話で受けた予約、紙に書いてもらった希望日。これらが別々の場所にあると、「今月の次回予約率」を出そうとしたときに、数える範囲が人によって変わります。

数え方が変わる数字は、前月と比べられません。比べられない数字は、判断に使えません。

数える場所を1つに決める

決めることは3つだけです。

  • 分子は何か(次回の予約が確定した件数)
  • 分母は何か(提案した件数か、来店した件数か)
  • どこに記録するか(1か所に集める)

分母をどちらにするかで、意味が変わります。提案数を分母にすると「提案の通り具合」が出ます。来店数を分母にすると「来店した人のうち何割が次を決めたか」が出ます。どちらでも構いません。混ぜないことだけが条件です。

断られた回数も、同じ場所に記録する

もう1つ足しておきます。断られた件数です。

断りを記録に残すと、それは失敗の記録ではなく、提案した証拠になります。提案数が分母に入るようになり、率が計算できるようになります。

記録がないと「今月は取れなかった」しか残りません。提案していないから取れなかったのか、提案したけれど断られたのか。この2つは、打ち手がまるで違います。

取れた予約が、そのまま来店になるとは限りません

この章のまとめ

次回予約率が動かないのではなく、動いたかどうかが見えていない場合があります。声かけを変える前に、どこで数えているかを確かめます。

次回予約率が上がっても、来店回数が増えないことがあります。

理由は単純です。次回予約は、たいてい2〜3か月先を押さえます。3か月先の予定は、来週の予定より変わります。仕事も家族の予定も、そこまで先までは決まっていません。

だから、数える列をもう1つ足します。

数える列何が分かるか
提案した件数声をかけているか
取れた件数提案が通っているか
その予約で実際に来た件数回数が本当に増えたか

3列目がないと、取れた数だけが増えて、売上が変わらない状態に気づけません。

前の章で、提案した件数と断られた件数を同じ場所に記録すると書きました。そこに列を1つ増やすだけです。来た人に印を付け直すのではなく、来なかった予約に印を付けるほうが手が少なくて済みます。数が少ないからです。

来なかった予約が続く相手は、間隔そのものが合っていない場合があります。3か月で提案していたけれど、その人の周期は4か月だった。間隔が合っていないなら、声かけを変えるより提案する間隔を変えるほうが早く直ります。

この章のまとめ

取れた件数と、その予約で実際に来た件数は別の数字です。3列目を数えないと、次回予約率だけが上がって売上が変わらない状態を見逃します。

スタッフ別の成績表にすると、声かけが硬くなります

数え始めると、次はスタッフごとに見たくなります。上位の記事にも、獲得率をスタッフ別に見るという書き方がありました。

ここは止めておくほうが安全だと考えています。

個人の成績表にすると、数字は押しの強さで作れてしまいます。取れた件数だけを見ていると、粘って取った1件と、自然に決まった1件が同じ1件に見えます。前者は次のキャンセルになりやすく、客は次の来店で身構えます。

店全体の数字として見てください。上がったか下がったかは、店全体でも分かります。

見るなら、人ではなく場面で分けます。

  • 会計のときに提案したもの
  • 仕上げのあとに提案したもの
  • 次の施術の話が出たときに提案したもの

場面ごとに通り具合が違えば、変えるのは順番であって、担当者ではありません。

客が通い続ける理由の1位は「ネット予約できる」

ここで、少し居心地の悪い数字を1つ置きます。

美容室に通い続けているお客さまに、その理由を聞いた調査があります。「美容センサス2025年上期《美容室編》」です。

1位は人ではなく、予約の取りやすさだった

結果はこうでした。

継続理由女性男性
ネット予約できる36.8%34.9%
自宅から近い31.6%23.9%

1位は「ネット予約できる」。20代と30代の女性では、各47.5%まで上がります。50〜60代になると「自宅から近い」が最も高くなりました((株)リクルート ホットペッパービューティーアカデミー調べ)。

美容室を続けている理由の順位。1位はネット予約できるで女性36.8%、2位は自宅から近いで31.6%であることを示した図
美容室を続けている理由の順位。1位はネット予約できるで女性36.8%、2位は自宅から近いで31.6%であることを示した図

店頭で完結させる運用は、ここと衝突することがある

次回予約は、店頭で取る前提で設計されがちです。目の前にいるうちに決めてもらうほうが確実だからで、その判断は理にかなっています。

ただ、お客さまの側から見た継続の理由の1位は、自分の都合のいいときにネットで予約が取れることでした。

店頭で日程を確定させると、その人にとっては「予約が固定される」という体験になります。予定が変わりやすい人ほど、これを重く感じます。

店頭予約をやめるべきだ、という話ではありません。衝突しうる、というだけです。だから次の節の設計が必要になります。

なお、この見方は思いつきではありません。先ほどの厚生労働省の指針にも、「情報通信技術を利用した新規顧客の獲得及び顧客の確保に関する事項」という項目があり、その中に「インターネット等の活用による予約の受付」が置かれています。ネット予約は、集客だけの道具として扱われていません。

私が読んだ上位10本の中に、お客さま側に聞いた調査を引いている記事は1本もありませんでした。「お客様は〜と感じている」は、すべて店側からの推測です。

予約の手段は、年代で大きく違う

衝突するかどうかは、相手によります。ここも数字が出ています。

同じ調査で、過去1年の予約方法を聞いています。

予約方法女性男性
ネット予約・計59.2%53.1%
電話をして予約21.0%(前年比2.6pt減)25.0%(0.9pt減)

ネット予約は年々増え、電話は年々減っています。年代別ではさらに差がつき、ネット予約は20代女性で75.8%、30代女性で72.6%。男性も20代で60.9%でした。

つまり、20代のお客さまの4人に3人は、ふだんネットで予約しています。その人に店頭でだけ次を決めてもらう運用は、ふだんの行動と噛み合いません。

一方で50〜60代は「自宅から近い」を継続理由の1位に挙げていました。この層には、店頭での確定がむしろ合います。

同じ声かけを全員にしない。判断の材料は、その人がふだん使っている予約手段です。

提案する場面は、客の予約手段に合わせて決める

「会計時か、施術中か」という議論があります。上位の記事は、ここに紙幅を割いていました。

紹介しておきます。

どれもサロンの現場の実感から書かれていて、私には書けない内容です。

私が足せるのは、噛み合わせの判断だけ

タイミングそのものの良し悪しは、現場のほうが分かります。私が足せるのは、その場面が、その人の予約手段と噛み合っているかという視点です。

  • ふだんネットで予約している人には、店頭で日程を決めきらず、次回の目安だけ渡すという形もあります。決めるのは本人の都合のいいときになります
  • 電話や店頭で予約している人には、その場で確定させたほうが手間が少なくなります
  • 断られたときは、日程ではなく次の目安だけを残す。記録には「提案した」と残ります

取れなかった人を、分けて扱う

次回予約が取れた人と、取れなかった人。この2つを分けて記録しておくと、あとの連絡が変わります。

取れた人には、直前のリマインドだけで足ります。取れなかった人には、目安の時期に一度だけ連絡する。送る本数ではなく、送り分けができているかが効きます。

声かけの中身は、現場のほうが詳しい

ここから先、つまり実際に何と言うかは、サロンを運営している方のほうが詳しい領域です。私は接客をしたことがありません。だから、自分の文例は作りません。

上に挙げた3社のほか、次のものも読む価値があると判断しました。

予約システムの機能で支える方法もあります。ここは複数社が公開しているので、1社に寄せずに見比べるほうが早いはずです。

私が足せるのは、声かけの外側で起きることのほうです。

取れた予約がそのまま来店になるとは限らないこと。人気の時間から枠が埋まって新規が入らなくなること。数字を個人に貼ると押しの強さで作れてしまうこと。この記事で書いたのは、その3つです。文例は現場のものを使い、測る場所と止める場所だけを、外から足してください。

話しているのは、従業者5人未満の美容室のこと

ここまで「記録する」「分けて数える」と書いてきました。人手がある前提に聞こえたかもしれません。実際は逆です。

厚生労働省の指針に、規模の数字が出ています。令和5年度の調査で、従業者数5人未満の事業者は86.7%。平成27年度は78.2%でしたから、小規模の割合は増えています。

経営者の年齢は、60〜69歳が32.7%、70歳以上が23.4%。

全美連の資料では、経営資源の弱みとして「零細規模(従事者数業界平均2.1人、組合員平均2.2人)」が挙げられています。

平均2.1人。記録の担当を置ける規模ではありません。

だからこの記事で提案しているのは、紙1枚に「提案した/取れた/断られた」の正の字を書き、来なかった予約に印を付けることまでです。新しい道具は要りません。集計も月末に1回で足ります。

「仕組みが無いからできない」のではなく、仕組みを作る人が別にいない。ここを踏まえない提案は、たいてい実行されません。

次回予約で埋めてよい枠には、上限があります

次回予約が順調に取れ始めると、別の詰まりが起きます。人気の時間から、常連で埋まっていきます。

ただし、月の枠が全部埋まるわけではありません。数えてみます。常連が100人いて年4回来るなら、来店は月に約33人。その8割が次を押さえても、埋まるのは26枠です。1日6人で月25日開けていれば150枠あるので、まだ余ります。

詰まるのは、月全体ではなく土日の午後です。

その26人の多くが同じ時間を選びます。土曜の午後に取れる枠が1日3つなら、月に12枠しかありません。常連が先に押さえれば、新規に残るのは平日だけになります。新規は当日や数日前に探すので、先に埋まった枠は動かせません。

だから、埋めない枠を決めておきます。

  • 平日の夕方より前など、新規が入りにくい時間から埋める
  • 土日の午後は、直前まで空けておく枠を何枠か残す
  • 月の後半に、変更の受け皿として空きを作る

次回予約は稼働を平らにする道具です。満席にする道具ではありません。 3か月先が満席の店は、来週来たいと言った常連を断ることになります。

小さい店ほど、ここは効きます。スタイリストが2人なら、埋まりきった1日を動かす余地がありません。

この章のまとめ

詰まるのは月全体ではなく、土日の午後です。埋めない枠を先に決めてから、提案を増やします。

費用は予約手段ではなく、経路に紐づく

次回予約を店頭で取る理由として、「手数料がかからないから」と説明されることがあります。

この点は、公開されている情報だけで確かめてみました。結論から書くと、会社によって公開の度合いが違います。

予約掲載サービス3社の料金公開の度合いを、公開・構造のみ・非公開の3段階で並べた図
予約掲載サービス3社の料金公開の度合いを、公開・構造のみ・非公開の3段階で並べた図

料率まで公開している会社がある

楽天ビューティのサロン向け案内には、料金がはっきり書かれています。「基本プラン月額使用料 0円」「施術料の15%+税/件」。キャンペーン中は10%+税/件と記載されていました。初期費用は別途かかる、とも書かれています。

課金の考え方については「予約件数に応じて広告費用が決まる成果課金型の料金体系」とあります(2026年8月28日参照、ページに更新日の記載なし)。 https://beauty.rakuten.co.jp/cnt/topics/bp/

規約で発生条件だけを示している会社がある

minimoの利用手数料規約には、金額そのものは書かれていません。「弊社が別途定める本サービスの利用手数料」とあります。

一方で、発生する条件ははっきりしています。「施術者が本サービスを利用して、被施術者とサービスの提供について契約をした場合」(制定2015年3月19日、最終改定2022年10月3日、2026年8月28日参照)。 https://minimodel.jp/policy/fee

料金体系そのものを公開していない会社がある

ホットペッパービューティーの掲載案内では、掲載費について「ご希望のエリアやプランによって異なります。詳しくはお問い合わせください」と書かれています。

ネット予約に手数料がかかるという記載も、店頭予約には手数料がかからないという記載も、公式ページには見当たりませんでした(2026年8月28日参照)。 https://beauty.hotpepper.jp/doc/keisai/keisai.html

だから言えるのは、ここまで

成果課金型では、費用はそのサービスを経由して成立した予約に紐づきます。予約が入らなければ発生しません。予約手段そのものではなく、経路に紐づいている、という形です。

一方で、「店頭で取った次回予約には手数料がかからない」と明記した公式情報は、3社のいずれにも見つかりませんでした。

だから、費用で次回予約の運用を決めたい場合。自店の契約書と、毎月の請求明細を見るのが唯一の方法になります。何に対して課金されているかは、そこにしか書かれていません。

私が読んだ上位10本の中で、費用に触れた記事は1本もありませんでした。

予約サイトの外に、自分の入口があるか

最後に、次回予約の手前の話を1つだけ。

いま利用している美容室を知ったきっかけを聞いた調査があります。女性全体では「予約・口コミサイト」が32.7%で最多、20代女性では39.5%でした。ちなみに同じ20代女性でSNSは6.9%です。

入口の多くを、外部のサイトに預けている状態と読めます。

これ自体は悪いことではありません。集客の効率としては合理的です。ただ、入口を1つに預けていると、次回予約の受け方も、その1つの中でしか設計できません。

自分の入口を持つというのは、大がかりな話ではありません。自店から直接予約を受けられる導線が1本あるか。連絡先を自分の側に持っているか。まずはそこだけです。

そのうえで、店頭で取る予約と、自店から受けるネット予約を組み合わせられるようになります。手段を1つに絞らずに済むので、年代の違いにも対応できます。

集客とリピートを外側から整える部分については、BtoCマーケティングの支援に範囲と進め方を書きました。

連絡の設計はLINE公式の仕組み化、数字を判断に使える形にまとめる作業はマーケティングデータの活用のほうです。

この方法が効かないのは、こんなとき

向かない場合を書いておきます。

新規のお客さまが月に数人しかいない美容室では、次回予約率は数字として揺れすぎます。1人断られただけで大きく動く分母では、前月と比べる意味がありません。この場合は率ではなく、件数だけを数えてください。

メニューの性質上、来店の間隔が半年以上あるサロンも、次回予約は成立しにくくなります。半年先の予定を決められる人は多くありません。ここは目安を伝えるだけにとどめるほうが現実的です。

技術や接客に明確な不満が出ているサロンでは、次回予約より先にそちらです。次を決めてもらっても、来なければリピート率は動きません。

数字の見方は、打ち手を選ぶための道具でした。打ち手そのものの代わりにはなりません。

よくあるつまずき

実際にやろうとしたときに、最初にぶつかるところを置いておきます。

スタッフごとに次回予約率を出すべきですか。

出すこと自体はできますが、個人の成績表にすると声かけが硬くなります。押しの強さで数字を作る方向に進みやすいところです。美容室全体の数字として見る置き方を勧めます。

紙で記録すると集計が大変です。

月末に正の字を数えるだけなら、5分で終わります。集計を自動化しようとした時点で作業が増えるので、最初は紙のままで構いません。3か月続いてから、続けられる形に移してください。

予約サイトの管理画面に出ている次回予約の数を、そのまま使ってはいけませんか。

使って構いません。ただし、その画面が数えている範囲を確かめてください。店頭で受けた予約が含まれているかどうかで、分母が変わります。

目標の回数は、どうやって決めればいいですか。

いまの平均から1年に1回ぶん、が現実的な幅です。業界の平均値を目標に置く方法もありますが、次回予約率やサロンのリピート率の業界平均として公表されているものは、官公庁・業界団体・提供元企業のいずれからも見つけられませんでした。自店の先月と比べるほうが確実です。

今日、1つだけ決めてください

長く書きましたが、最初にやることは1つです。

次回予約の数を、どこに記録するか。今日、1か所に決めてください。

ノートでも、予約表の余白でも構いません。提案した数と、取れた数と、断られた数。この3つが同じ場所に並んでいれば、来月には率が出ます。

年間何回に戻したいのか、誰にどの場面で声をかけるのか。その設計は、数えられるようになってからでないと始まりません。逆に言えば、数え始めた時点で、半分は終わっています。

参考にした資料

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この記事を書いた人

たけまるマーケティングディレクター

事業会社で17年、マーケティングの現場と決裁の場にいました。広告・コンテンツ・データのどれか一つではなく、売り方全体を決める側から見た話を書きます。