ホットペッパービューティーをやめる前に、店の数字を3つ出す
ホットペッパーをやめるべきか、次の更新が近づくたびに止まっていませんか。掲載料が毎月出ていくのに、クーポンを出さないと予約が入らない。それでも、やめたら新規が来なくなるのが怖い。
やめるか続けるかは、掲載料の金額では決まりません。決めるのに要る数字は、お店の予約の記録とレジの中にあります。
この記事では、店内の接客や技術は書きません。集客にかけた費用を、どう評価するかを書きます。
この記事でわかること
- 掲載をやめて失うものは2つあり、新規の入口とネット予約では置き換えやすさが違う
- やめる前に出す3つの数字は、お店の予約の記録とレジから出せる
- よく見る掲載料の相場も手数料率も、提供元が公表した資料では確認できない
目次
いま美容室の市場では、客数と来店回数が減っている
美容室の市場規模は1兆3,063億円で、前年から5.9%減りました(リクルート ホットペッパービューティーアカデミー「美容センサス2026年上期」2026年6月25日発表)。
減った理由がはっきりしています。単価は下がっていません。減っているのは、来る人の数と、来店の回数です。
前の年(美容センサス2025年上期)は1兆3,884億円で、2.5%増えていました。5年のなかで最も大きく落ちたのが、直近の1年です。
店の数のほうは増えています。美容所の届出数は274,070施設で、前年度から1.5%増えました(厚生労働省「美容業概要」衛生行政報告例・令和6年3月末現在)。
出所も数え方も違うので、この2つは割り算できません。ただ、来店回数が落ちている方向は、判断の前提になります。
やめて失うものは2つあって、置き換えやすさが違う
掲載をやめると何を失うのか。ひとまとめに「集客」と呼ばれますが、中身は2つに分かれます。
新規の入口と、ネット予約という機能です。
リクルートの調査(美容センサス2025年上期・全国の15〜69歳、男女それぞれ6,600人)を見ると、その差がはっきりします。
いま使っているサロンを知ったきっかけの1位は「予約・口コミサイト」で、女性の36.0%でした。20代では44.0%、30代では46.3%に上がります。
一方、続けている理由の1位は「ネット予約できる」で36.8%。20〜30代ではそれぞれ47.5%を占めています。
ここが分かれ目です。
「ネット予約できる」は機能なので、自社の予約ページでもLINEでも代わりが用意できます。一方「予約サイトで見つけてもらう」は入口で、自社サイトや地図、SNSを育てる必要があります。用意してから効き始めるまでに時間がかかります。
だから、やめる/続けるの二択ではありません。どちらを先に手当てするかという順番の問題です。
先にネット予約の受け皿を作り、そのあとで入口を育てる。育つまでは掲載を続ける。この順番なら、売上を落とさずに動けます。
この章のまとめ
- 失うのは「新規の入口」と「ネット予約」の2つ
- ネット予約は自社の仕組みで置き換えられる。新規の入口は育てるのに時間がかかる
- 受け皿を先に作り、入口を後から育てる
ホットペッパーをやめる判断ができないのは、材料がお店にないから
ここまで読んで、「それは分かるが、うちはどうなのか」と思ったはずです。
その通りで、ここから先は一般論では決まりません。決められない理由の多くは、判断する材料が手元にないことにあります。
美容室は従業者5人未満の店が86.7%を占めます(全国生活衛生営業指導センター「生活衛生関係営業経営状況調査」令和5年度・厚生労働省の振興指針が引用)。オーナーが施術に入りながら、経営も見ている店がほとんどです。
数字を見る人が別にいる会社とは、前提が違います。記録は残っていても、集計されないまま溜まっていきます。
ホットペッパーのレポートしか見ていない店も多いはずです。ポータルのレポートは、ポータルの中での成績しか映しません。自社サイトからの予約も、常連さんが店頭で取った次回予約も、そこには載っていません。
やめる前にやることは、決めることではありません。見えるようにすることです。
やめる前に出す、3つの数字
大がかりな話ではありません。3つだけ、お店の記録から出します。
1つ目。お客さま1人が、1年に落とす金額
客単価に、年間の来店回数を掛けます。何年通ってくださるかを掛ければ、生涯でもたらす金額に近づきます。
公式調査の平均で計算すると、女性は7,686円×4.18回で年間およそ32,000円です。男性は4,853円×5.05回で、およそ24,500円になります。
ただしこれは全国平均で、あなたのお店の数字ではありません。単価も来店の間隔も店によって違います。必ず自分の記録から出してください。
もうひとつ。この金額はお客さまが支払う金額であって、店に残る利益ではありません。材料費も人件費も、まだ引かれていません。
2つ目。その経路に、実際いくら払ったか
掲載料だけではありません。クーポンで値引きした分も、新規のお客さまに来ていただくために出した費用です。
値引きは会計上は売上の減少ですが、新規に来てもらうために出した費用です。集客の費用として数えたほうが、実態に近くなります。
3つ目。その経路から来た人が、2回目に来た数
いちばん大事で、いちばん記録に残っていない数字です。
予約の記録とレジを突き合わせれば出ます。新しい道具を買う前に、まず手元の記録で数えてみてください。
3つを並べると、上限が見える
1つ目と3つ目が分かると、新規のお客さま1人にいくらまで払ってよいかの上限が出せます。そこに2つ目を並べれば、いま払っている金額が上限の内側なのか外側なのかが分かります。
外側なら、掲載のプランを下げるか、値引きを見直すか、経路そのものを変えるか。内側なら、続けたほうが得です。
この章のまとめ
- 出す数字は3つ。1人が1年に落とす金額、その経路に払った金額、2回目に来た数
- 公式調査の平均は目安で、自分の店の数字ではない
- 3つを並べると「1人にいくらまで払ってよいか」の上限が出る
よく見る相場の数字は、提供元が公表したものではない
この記事を書くにあたって、世に出ている数字の出所を確かめました。
掲載料の相場も、ネット予約の手数料率も、提供元が公表した資料では確認できませんでした。公式のプラン案内には金額の記載がなく、「詳しくはお問い合わせください」とあります。新規客のリピート率としてよく引かれる数字も、たどると4年前の代理店ブログでした。
書いている側が悪いわけではありません。公開されていないものは、推測するしかないからです。
だからこそ、自分の請求書と記録のほうが確かです。手数料率を知りたいなら毎月の明細を、リピート率を知りたいなら予約の記録を見てください。
掲載を続けながら、店の数字を見えるようにする
3つだけです。
- どの経路から来たかを、予約の記録に残す。ポータル経由か、自社サイトか、地図の検索か、紹介か。項目を1つ足すだけです
- 2回目の来店を数えられるようにする。記録とレジの突き合わせで足ります。道具を買うのは、この作業が面倒になってからで構いません
- ポータルの外に入口を作る。自社サイト、Googleのビジネス情報、SNS。効き始めるまで時間がかかるので、掲載を続けているうちに始めます
店内のことは書きません。次回予約の声のかけ方も、カウンセリングの組み立ても、オーナーのほうがずっと詳しいはずです。
私たちが役に立てるのは、数字が見えていない状態を、見える状態にするところまでです。どの経路にいくら払って、何人来て、何人が戻ってきたか。それが分かれば、やめるか続けるかはご自身で決められます。
やめると決めた場合も、順番があります。ネット予約の受け皿を先に作ってください。新規の入口は育つまで時間がかかるので、掲載を続けながら並行して育てます。
集客にかけた広告費をどう評価するかは、CPAが下がったのに売上が増えない理由にも書きました。獲得の数字と事業の売上がずれる話で、業種は違っても見方は同じです。
当社の支援内容は成果計測とマーケティング支援のページに、発注側での実績は広告運用の実績にまとめています。
よくある質問
Q. 掲載をやめると、新規の予約はどれくらい減りますか。
店によって違うので、一般的な答えはありません。ただ、いま来ている新規のうち何割がポータル経由かは、記録から出せます。その割合が、いったん失う可能性のある範囲です。自社サイトや紹介の比率が高い店ほど、影響は小さくなります。
Q. 記録に経路の欄を作ったのに、スタッフが入力してくれません。
入力の項目を増やすと、現場の手が止まります。まずは新規のお客さまだけ、選択肢を3つまでにしてみてください。「ポータル」「紹介」「その他」で始めれば、最初の1か月の傾向は見えます。細かく分けるのは、続くと分かってからで間に合います。
Q. 記録とレジを突き合わせたら、件数が合いませんでした。
合わないほうが普通です。予約が入っても来店しなかった方、当日に人数が変わった方、名前の表記が違う方。そこを完璧に合わせようとすると止まります。見たいのは正確な件数ではなく、ポータル経由の方が2回目に来ているかどうかの傾向です。7割ぶんが分かれば判断はできます。
Q. 経路を記録していなかった過去のぶんは、どうすればよいですか。
さかのぼらなくて構いません。今日から記録すれば、3か月後には判断できる材料が揃います。過去を再現しようとして時間を使うより、いまの1件を記録するほうが早いです。それまでは掲載を続けたまま進めてください。
参考にした資料
- リクルート ホットペッパービューティーアカデミー「美容センサス2026年上期【美容室編】」(2026年6月25日 発表・2026年8月28日 参照)
- 同「美容センサス2025年上期【美容室編】資料編(詳細版)」(2025年6月・2026年8月28日 参照)
- 厚生労働省「美容業概要」(衛生行政報告例・令和6年3月末現在・2026年8月28日 参照)
- 厚生労働省「理容業・美容業の振興指針」((公財)全国生活衛生営業指導センター「生活衛生関係営業経営状況調査」令和5年度を引用・2026年8月29日 参照)
- ホットペッパービューティー「おすすめ掲載プランについて(ヘアサロン様)」(2026年8月28日 参照)
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